2017
09.12

ISUが急進的なルール変更を計画中 ※追記あり

http://web.icenetwork.com/news/2017/09/11/253667206

ISU技術委員長のファビオ・ビアンケッティによると、ISUは急進的なルール変更を計画中だそうです。フィギュアスケートにおける競技性と芸術性のバランスをよくするためです。そして彼は、このルール変更がフィギュアスケートの競技発展と人気回復に繋がることを望んでいます。

大きな変更点(構想も含む)
*男子とペアのフリースケーティングの演技時間が4分半から4分へ(決定済み) ISUルール75ページ
*男子のフリースケーティングのジャンプの数が8本から7本へ(決定済み) ISUルール104ページ
これらに関してはISUルールを参照されたし。
http://www.isu.org/inside-single-pair-skating-ice-dance/figure-skating-rules/regulations-rules-fs/file

*3回転以上のソロジャンプとペアのスロージャンプの基礎点をカット(基礎点は最終決定していない)
ソロジャンプ
4T 4.3 4.2
3S 4.4 4.3
3Lo 5.1 4.9
3F 5.3 5.3
3Lz 6.0 5.9
3A 8.5 8.0
4T 10.3 9.5
4S 10.5 9.7
4Lo 12.0 10.5
4F 12.3 11.0
4Lz 13.6 11.5
4A 15.0 12.5
スロージャンプ
4TTh 8.2 6.5
4STh 8.2 6.5
4LoTh 8.7 7.0
4FTh/4LzTh 9.0 7.5

*GOEを-5~+5の11段階に変更(決定済み)し、それぞれのGOE間の加点幅を基礎点の10%にする。

*ショートプログラムとフリースケーティングの替わりに、アスレチックプログラムとアーティスティックプログラムを新設。各部門での表彰を行い、両部門の合計での勝者も表彰する。
上記は2022年の北京オリンピックからの導入を目指しており、2020年のISU総会での提案を目指しています。

現在はTES>PCSの偏重が進んでおり、その解消を狙うのがこの急進的ルール変更の目的。そして4回転スロージャンプの基礎点の大幅カットは、続発するトップ勢の怪我を抑制するためのものです。この基礎点になりますと、3回転スロージャンプとの基礎点の差がほとんどないので、練習するメリットが一気に低下することになります。また、ペアでは30秒の演技時間カットの煽りを受け、コレオシークエンスが廃止されます。

コリ・エイドやブライアン・オーサーは演技時間カットが、プログラム表現に及ぼす影響を危惧しています。またコリ・エイドは「誰も4回転ジャンプに複雑なステップを入れていないのに、それがGOEに反映されていない(つまりGOEが過大評価)」「4Fや4Lzは誰も降りていないため高すぎる基礎点が設定されていた」と語っており、基礎点の改定には好意的に見てとれます。ブライアン・オーサーはアスレチックプログラムとアーティスティックプログラムへの分割には時間をかけなければいけないと考えています。
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と、いうことで変更点はこのような感じです。ここからは私見。

基礎点変更に対しては僕は賛成です。基礎点が上がり続け、点数もインフレを起こし続けていました。すべてを一気に下げるのであればフェアですし文句も出ないと思います。

男子とペアの演技時間の変更、男子のジャンプとペアのコレオシークエンスカットはすでに決定済みなので文句の言いようはありません。男子に関しては見どころが減ってしまうのが寂しいところですが、基礎点の改定を含めて考えてみても、4回転に挑むスケーターにそれほど変わりはないと思います。8本から7本になると、苦手な種類のジャンプを入れなくて済むというメリットも生まれます。ジャンプが減ることで、さらに高難度に挑んでくるか加点狙いでくるかに分かれる・・・でしょうか。不安定な4回転を1本抜いて、安定した3A2本でくる選手は増えるかもしれません。

TESとPCSの均衡を図るというのが、この大幅なルール改定の目的とされています。それは賛成ですが、まず第一にPCSが天井を迎えてしまっているという根本的問題を解決しなければなりません。PCSで差がつけられないから、皆技術点で差をつけるようになりました。もはやPCSは旧採点時代の6.0のようなものになっており、客観的にその選手の能力を測るものではなく、順位点と化していますよね。別の大会の点数を比較することに意味はないかもしれないけれど、客観的に見てもおかしくないぐらいの明確なPCSの採点基準を設け、真にハイレベルな演技に対してスコアを出すことが大切になるでしょう。そうでなければ、このルール改定をしたところで、今と同じになります。これはISUジャッジの皆さんの腕の見せ所です。

コリ・エイドが言っている「誰も4回転ジャンプに複雑なステップを入れていないのに、それがGOEに反映されていない」という発言にも同意できます。GOEのプラス基準は設けられているものの、あくまで基準。それに則する必要はありません。でも、これも客観性に欠けると突っ込まれれば終わり。より正確なジャッジが求められます。

競技性を重視したアスレチックプログラムと、芸術性を重視したアーティスティックプログラムへの分割は、こちらもオーサーに同意するように熟考の必要ありですね。どうやって分けるのかですもん。競技性重視だからバンバン4回転跳んでいいのか、それとも必須要素をガチガチに固めるのか。ISU技術委員会の提案が待たれます。でも技術が高い選手は芸術性も高いので、結局最終順位はそれほど変わらないと思いますよ。いい面を上げるとすれば、例えばアーティスティックプログラムでジャンプに制限がつけば、ジャンプ力は落ちてしまったけど、スケーティングやスピン、表現面で全盛期以上の力を持つ選手は長く現役を続けられることになります。それはプラスですよね。

でもまたこれも問題があるんですよ。2つに分けると、代表選考を分けて考えるのか、3枠あるなら別々の選手を出していいのか?とか国内選手権などの運営にも関わってきます。ぶっちゃけめんどくさそうですし、絶対に荒れます。アメリカ・カナダ・ロシア・日本は確実に荒れます。単に分割する以上の影響も考えてルール導入をしなければなりませんね。

追記
GOEの加点幅についての訳を勘違いしておりました。
GOEの加点を基礎点の10%にするのではなく、加点幅を10%刻みにするということですね。だから例えば3Aだと基礎点が8.0だから、+1だと8.8、+2だと9.6・・・・・+5だと12.0になるわけで、むしろ加点狙いに対しては一層大事になるということですね。かなりの勘違いをしておりました。それでもジャンプの高難度化は変わらないでしょうね。3A以上のジャンプに大きく影響するので、どっちみち女子選手は3Aか4回転以上の武器を持たないと、エテリチームが席巻する現状を打破するのは難しそうです。
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