Luce Wald

フィギュアスケートは好きですか?僕は大好きです。

In one of the stars I shall be living. In one of them I shall be laughing. And so it will be as if all the stars will be laughing when you look at the sky at night.

2015-2016シーズン パトリック・チャン

6

パトリック・チャン

スケートカナダ 優勝
エリック・ボンパール杯 5位
グランプリファイナル 4位
カナダ選手権 優勝
四大陸選手権 優勝
世界選手権 5位

SP:Mack the knife
LP:ショパンメドレー
EX:Mess is mine
EX:ビートルズメドレー

初代衣装は、クリスマスの朝に新聞を読みながら「プレゼントを開けていいよ」と2人の子供たちに微笑みかけるお父さん衣装。2代目の衣装は巨乳数学教師。大きく変わったわけではないので大して突っ込むところではないのですが、僕は初代衣装の方がプログラムに合っていたと思うんですよね。マックという殺し屋の噂話をする人々の歌らしいので、クリスマスの朝のお父さんの方が庶民感が出ます。わちゃわちゃと駆け出して、エグインサイドエッジに乗って方向転換。あっという間にトップスピードに乗って4T-3Tを跳びます。そしてアウトからインにチェンジエッジしてただ滑るだけ。滑るだけなのにこの迫力。全く位置がブレないつま先まで伸びたフリーレッグも相まって芸術的。トランジションのツイズルの後に肩をワナワナ震わせるのは、殺し屋マックの恐ろしさによるものでしょう。3Aに向かうところでは左足インでのクロスロール。みんなやることなのに、こんなにながーーーくふかーーーくされると、別のものに見えます。ステップに入っていきなりの難しいターン。ブラケット~カウンター~ダブルツイズルのところ。カウンターがグイーーーンと加速するのがすごい。普通の選手ってターンでこんなに進めます?6秒でリンクの半分まで到達するってすごすぎません?膝をスライドさせて立ち上がるときにはもうエッジを倒して次の動きに入ります。隙がありません。プログラム全体にホップを多用しているのにも関わらず、きちんと滑ってもいる。シンプルな動きの質が卓越しています。江戸前の1貫ウン千円するような握りがポンポン出てくるような感じです。職人芸です。

SPは4Tの助走のところにピョコンとジャンプを1つ入れたのと、キャメルスピンがシーズン最初と最後で変わっていました。LPは2本目の4Tの助走が少し変わったのと、キャメルスピンがやはり変わっていました。でもほとんど手を加えていません。冒頭の4T-3Tの後の左手の振りと一緒に滑っていくところ、この柔らかさがたまりません。昔のPさんならこの振りが手旗信号になっていたと思うんですよね。本当に変わったと感じます。前半の3つの難しいジャンプを終えて、すぐにステップに入ります。ステップが進むに伴い、革命のエチュードの旋律も激しくなってきますが、それに付随するようにPさんの滑りも強さと熱を帯びてきます。体を残してトテトテと駆けてから、ロッカー~カウンター~ダブルツイズル、左腕を下げて右腕だけ上げてのポーン。この流れの美しさよ。ここから淡々と強くなっていくかと思えば、ジトーっとしたガニマタイーグルがあり、急にストップ。そこから静かにステップをまとめます。出るところの半時計回りで胸に手を当て、時計回りで感情をフッと放つような自然な振付が素晴らしいと思います。40秒のエレメンツの中で緩急と感情表現が何度も入れ替わっていく。複雑でレベルの高い攻勢だと関心させられます。プレリュードに音楽が変わって、それまでよりもセンチメンタルな音楽表現へと移ります。ダイナミックな3Aや3Lz-2T-2Loも物憂げです。でも弱弱しいわけではありません。音符と音符の間さえも捉えて組み込んだ3Loで見せる芯の強さ、その強さは奥底に持っています。このプログラムで僕が再三申している不満な点。コレオシークエンスの移動距離が短いところ。Pさんのプログラムのコレオエレメンツが大好きで、オペラ座の怪人のコレオステップのダイナミズムや、ラ・ボエームのコレオシークエンスに込められた悲嘆。それらが爆裂スケーティングと融合するところがよかったんです。だから短いのは嫌!もっと見せろ!もしくはコンビネーションスピンとコレオシークエンスが逆でもしっくりきたかもしれない。いや、コンビネーションスピンじゃなくて全部コレオシークエンスがよかった。短いのは嫌!もっと見せろ!そんな感じなんです。4分40秒ギリギリの振付なので、これ以上は足せないですし、はあ・・・・・妄想で振付足しとこ。表現は素晴らしく、冷静と情熱、落胆から自分を奮い立たせ「俺、生きてるぜ」みたいなパワーを発してのフィニッシュはすさまじかったです。衣装は上よりもパンツが気になりまして、サイドと尻のラインみたいなやつは一体。

久しぶりにワールドの表彰台から陥落することになった演技を見ましたが、あれはジャンプの失敗で音楽から遅れておりまして、なかなか追いつけず、微妙なズレが生じたまま終わったことも印象の悪さに繋がったと思います。ショパンメドレーは、Pさんが持つ技術の高さと音楽との完璧なシンクロを楽しむものです。だからジャンプを抜きにして考えても、四大陸よりも「あああ・・・・・うーん・・・・・」という印象が強くなってしまったのでしょう。最後に、僕はファイナルの演技があまり好きではありませんでした。わざわざ別個でファイナルの結果をおさらいするエントリーまで上げました。それは、ジャンプを成功させること≠神演技だと考えているからです。ファイナルの演技は冒頭から動きが硬く、緩急が乏しかったです。前半が強調されすぎて、演技としてはいびつな印象を受けました。自分の感覚が絶対に正しいと言うつもりはありません。ただ、大勢に流されてに肯定するのは楽だけど、性格の悪い捻くれたブログを書き続けてきた僕っぽくはないなと思いました。そのファイナルでの印象を四大陸で見事にひっくり返し、今後数十年語り継がれるようなパフォーマンスを見せました。フィギュアスケーティング、その1つの形を見たような気がします。

エキシビションのビートルズも素敵で、カーニバルオンアイスで披露した演技を見て好きになりました。でも、りっぽんぽんのせいで1 2 3 4 デデデデデデデデ デデデデデデデデって入れてしまう病にかかってしまいました。罪深きりっぽんぽん。

世界選手権後に引退!?との報道があり、ヒヤヒヤさせられましたが、すぐに「続けるわー」とのコメントが出てホッとしました。4Sを習得すれば戦うことは可能です。苦手な3Aも2本入れてレベルアップしましたし、この調子で手にして欲しいです。ずっとベテランだと思っていたPさんも今シーズンには26歳になります。本当のベテランになりました。2016-2017シーズンは、エリック・ラドフォード作曲でLPを滑ることを発表しています。賭けになると思いますけど、世界チャンピオンクラスの選手にはどんどん挑戦して、表現の極地にまで到達して欲しいので、ラドフォードさんの曲がとても楽しみです。パトリック先生の次回作にご期待ください。

6 Comments

6番 says..."Creaさんへ"
Creaさんへ

4Sを習得して欲しいですね。羽生となんですくんのPCSと並んでしまっている以上、ミス待ちになっているので、3クワドになれば戦えるステージに上がれますもの。
2016.08.12 19:46 | URL | #q2p5Nno. [edit]
6番 says..."西瓜糖さんへ"
西瓜糖さんへ

フィギュアスケート史上最強のスケーティングスキルを持つスケーターの1人ですから、その選手がこれだけの演技をすると賞賛せずにはいれません。「極北」でしたね。うん、間違いない。
2016.08.12 19:42 | URL | #q2p5Nno. [edit]
6番 says..."匿名のSさんへ"
匿名のSさんへ

四大陸は本当に素晴らしかったです。何度見てもそう思います。GPSでもジャンプをまとめた演技はありますが、スケーティングや緩急、表現に至るまで四大陸は細やかでした。ぜひ、オリンピックかワールドで披露してもらいましょう。次は3クワドで!
2016.08.12 19:40 | URL | #q2p5Nno. [edit]
Crea says...""
特にクラシックは音とずれると気持ち悪さが出てしまうのでワールドは色々と盛り上がらずでしたが、四体陸のような演技がまた出たら、
そこに4Sが加わったら、確実にオリンピックではメダル候補ですよね。
あのショパンメドレーは本当に至高でしたし、フィギュアスケートはジャンプだけではないを体現してくれて嬉しかったです。
上手さに深みが出て良いシーズンでした。
2016.08.03 22:25 | URL | #eP1cGWnA [edit]
西瓜糖 says...""
四大陸のPさんの演技は永久保存として、網膜にしっかり焼き付けました。人それぞれの好みはあると思うのですが、個人的にはフィギュアスケート男子シングルのひとつの完成形を見せてくれた、と思っています。これもまた極北なのかな、と。
2016.08.01 18:08 | URL | #klq26XPE [edit]
says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2016.07.31 20:48 | | # [edit]

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