2016
06.07

2015-2016シーズン マキシム・コフトゥン

マキシム・コフトゥン

モルドヴィアンオーナメント 優勝
エリック・ボンパール杯 2位
NHK杯 10位
ロシア選手権 優勝
ヨーロッパ選手権 3位
世界選手権 18位

SP:I Can't Dance
LP:ベートーヴェンメドレー

SPは真っ二つのベースを両面につけた謎の衣装でのプログラム。しかもボディとネックを別々にするという徹底した意味不明っぷり。でも、この衣装を着た理由に対して「ロシア人だから」と一言発せばそれで完結してしまうのです。いや、意味の分からないことをしないロシア人なんてロシア人と言えるだろうか?そうではないだろう。冒頭の4S-3Tは昨シーズンのボレロより跳ぶタイミングが早くなっています。ボレロの音楽よりもノリがいいので、ちゃちゃっと跳ばないと間延びした印象になってしまいますからね。昨シーズンは曲線を使ってリンクを滑るということに気を配っていたように思いますが、今シーズンはリンクを広く使って四方の観客に対してもアピールをしようという戦法に見えました。1番変わったのは姿勢です。コフトゥンの大きな課題の1つがつんのめった姿勢で演技をするところで、それが曲の雰囲気を殺いでしまっていたわけですが、今シーズン演技が大きく見えたのはそれが解消されてきたからだと思います。178cmあるので、男子シングルの中ではかなり高身長の部類にありますので、姿勢がよくなって自分の武器を見せられるようになりました。4Tの後にある助走は2シーズン連続で同じような感じでやっているんですけど、これも今シーズンすごく丁寧になりました。曲調的には今シーズンの方がワイルドになってもおかしくありませんが、丁寧になったというのは押さなくても滑れるようになっている証拠なのでしょう。もう1つ変わったのがステップ中での両足をついたときの動き。ここでの動きの大雑把さがなくなりました。これまでは上体を動かしたり、次のターンを踏むことに気持ちが行き過ぎていたのだと思います。細かいところまで気を配れる余裕が生まれました。変なステップがおもしろかったのは、振付のインパクトを持ってくる箇所がコロコロと変わっていたからでしょうか。3拍目にもってきて、次は4拍目にもってきて、その次の小節は開けて、その次が1拍目と3拍目、さらに3拍目でループ、1拍目でイェイから3拍目からツイズル、その次の小節の2~4拍目でイェイイェイイェイ。この流れが絶妙。曲のちょっと間の抜けた感じとも合います。けれどワールドでは後半に3Aを持ってきたせいで踏むタイミングが少し変わってしまったんです。振付を少し変えてかっこよくしようとしたのか、アホっぽさがなくなってしまって「普通」の方向にメーターが触れて個性も薄れました。点数の点から見ても、振付のバランスから見ても後半に3Aを持ってくることは賛成だったのですが。これがシーズン途中で構成をいじる恐怖ですよ。本来意図していないところまで変わってしまうという。最初の振付をいかに完成されたものにできるか、自分の能力と相談できるかが大切だとよく分かります。これはコフトゥンのみならず全選手に言えることです。少しの変化がプログラム全体の印象に与える影響は、細かく見ればよく分かります。

シーズン最後で予定していたであろうLPのジャンプ構成はこちら。
4S 4T 4S-2T 後半 3A-3T 3Lz 3Lo+2A 3S 2A 69.12
そして昨シーズンはこちら。
4S 4T 4S-3T 後半 3A-1Lo-3S 3Lz-2T 3S 2A 2A 69.83
・・・下がっているのである。シーズン最初は3クワドと3A2本を両立させる構成にしておりましたが、その代わり3Lz抜きという歪さ。コフトゥンは今シーズン出場した試合ではナショナルを除いて、3本中1本のクワドは必ず抜けています。3Fなしで2Aを入れている時点で他選手とは2点の差があるので、このミスをなくせるかどうかです。GOEが一律+2に到達したのはモルドヴィアンでの3Aのみで、国際Aとなると過半数のジャッジが+2は出していない状況です。GOEで点数が積めず挽回が難しいので、他選手以上に抜けがTESに響くわけです。同じ3クワドの選手のジャンプの基礎点はというと羽生が79.69、なんですくんが79.23です。いかに基礎点問題が深刻化が分かるでしょう。勝つためには苦手な種類だからと言って抜いていられないし、3Aは2本にしないといけません。

LPはベートーヴェンの心情を表現しているのだと思いますが、気が緩んで居眠りをしてしまって、後半では気持ちを引き締めて演技をするというのは正しいのか?これはベートーヴェンではなくて、コフトゥンそのものの表現なのかもしれません。このプログラムはチェルニシェフ振付のようですが、とてもシブタニズやウィバポジェのFDを振付けたとは思えないような謎解釈。居眠りのところは会場から「HAHAHA」がないと寂しいです。ワールドでジャンプをミスしまくった後に「HAHAHA」がほとんどなかったときは、空気ヒンヤリでした。もっと笑ってやってくれやと思いました。ワールドでステップの振付を変更しましたが、僕の頭の中では架空のステップが前半に終わって、ステップがコレオシークエンス扱いになっていました。コレオシークエンスにしては進まない滑りですし、体力が余っていたであろうナショナルでもそうでした。華やかな第9の旋律で滑りで盛り上げられないのは、致命的だと思います。筋書きの「気持ちを引き締める」というところも表現しきれなくなりますし。4分半もたせることの難しさはありますが、シニアに上がって4シーズン目ですし、強化しなければいけないところであります。いろいろな試合を見比べて思ったのが、4回転を失敗して表彰式で目が死んでいたユーロは動きが1番よかったということ。コレオシークエンスまでしっかり体が動いていました。ベストパフォーマンスをユーロで見たかったです。衣装はシーズン序盤の袖口やりすぎブワブワブラウスがよかったんですけど、動きにくかったんでしょうか。コミカルなプログラムだからやりすぎなぐらいがちょうどいい。衣装に着られている感もおもしろかったのに。

来シーズンは正念場。ロシアの1番手扱いがコリヤダにシフトしきる前に抜き返さないといけません。今ロシアの代表は2枠。ロシアがオリンピック3枠を取るには、代表2人が完全無欠の演技をするしかありません。現実的に考えると取れるのは2枠です。プルシェンコが復帰すれば、連盟はフィギュアスケート史上初の5大会連続メダルを取らせたがるでしょうから代表枠は1つ埋まっているようなもの。実質1枠に入るためにはナショナル優勝、ユーロロシア1番手です。来シーズンはその準備のシーズン。ジャンプの抜けとスタミナをどこまで改善できるかです。ソチの代表選考は本当に気の毒だったので、あの姿はもう見たくないです。

ファイナルを初めて逃し、2年連続でワールドは惨敗。めちゃくちゃ出たがっていたTCCは怪我で欠場という、不本意なシーズンでした。来シーズンのプログラムを早々に発表しております。曲は違いますが2シーズンぶりにミューズ。成長したところを見せて欲しいです。
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