2015
02.23

かっこいいメダルの取り方

現行の採点方式に完全移行した2004-2005シーズンからのISUチャンピオンシップスとオリンピック合計45大会の調査結果。SPの順位とメダル獲得の関連性とかっこいいメダルの取り方について考えてみました。
OWG=オリンピック WC=世界選手権 EC=ヨーロッパ選手権 FC=四大陸選手権 WJC=世界ジュニア選手権

よく解説・実況の言う「この点差だと逆転もありえます、フリー次第では分かりません」というのは信憑性があるのかということが常々疑問でした。まずカウントして考察してみましょう。

SP/CD/SD1位でメダルを獲得する確率 97% 174/180
SP/CD/SD2位でメダルを獲得する確率 82% 147/180
SP/CD/SD3位でメダルを獲得する確率 61% 110/180
SP/CD/SD4位でメダルを獲得する確率 26% 46/180
SP/CD/SD1位で優勝する確率 66% 118/180
SP/CD/SD2位で優勝する確率 22% 39/180
SP/CD/SD3位で優勝する確率 7% 13/180
SP/CD/SD4位で優勝する確率 2% 4/180
LP/FD1位で優勝する確率 81% 146/180
LP/FD1位でメダルを獲得する確率 99% 178/180
完全優勝の確率 50% 90/180
SP/CD/SD1位、LP/FD1位以外で優勝の確率 14% 25/180
SP/CD/SD1位以外、LP/FD1位で優勝の確率 30% 54/180

これを見て分かるのが圧倒的にSPで1位が有利だということ。SP1位だとほぼ確実にメダルは獲得して、2/3の確率で優勝するとデータに出ております。完全優勝の数とSP1位LP1位以外優勝の数を足したのが、SP1位で優勝の数と比例しないのは、ODや予選がある選手が前者に入っていないからです。SPで1位になるような選手はとにかくミスがなくて、調子がいいのです。だから必然的にLPでも調子がいいわけです。アイスダンスではCD・SDで地力の高さが出るので、当然FDの順位も上が出やすくなるのです。

SP1位での優勝確率が66%、2位での優勝確率が22%と出ていますが。これは各カテゴリーにおけるトップオブトップが1組ないし2組ないし、トップの組とものすごく調子のいい選手が大会において1組ということを示しているのだと思います。ユナ、メリチャリ、テサモエ、ヴォロトラなどの1位2位しかとらない選手がメダルを寡占していますもの。SP1位か2位の選手が9割優勝するので、これからは「大逆転もないことはないけど、データから見ると確率は極めて低く、3位以下からの優勝への過度な期待はよした方がいい。過度な期待は選手へのプレッシャーになる。」ぐらいの現実的なコメントすべきですね。こんなコメントをすれば、猛烈なクレームが来るでしょうが。

ということで3位以下の選手の優勝の可能性は、1位との点差が1点以内とか、3位以下の選手がPCS格付けトップ2で、SPではたまたま失敗があった。ぐらいの時にのみ頭に浮かべることにします。だって10年のデータで出ているのだもの。

そしてかっこいいメダル優勝の仕方。
全ての種目で1位の完全優勝はなんと90例。45大会180例のうち半分は完全優勝と、実は完全優勝は全く珍しくはないことなのです。90例のうち24例が最終種目が最終滑走の、会場が盛り上がる優勝の仕方なのです。完全優勝ではない最終滑走での優勝は20例ありました。44例あるので全体の24%が最終滑走での優勝です。大きく滑走順に優勝者が左右されるということはないようです。

その中でも特にかっこいいのが

完全優勝かつ両方最終滑走
1 DAVIS Meryl / WHITE Charlie(アメリカ)195.52 1 1 2014OWG
1 Tatiana VOLOSOZHAR / Maxim TRANKOV(ロシア)225.71 1 1 2013WC
1 Nathalie PECHALAT / Fabian BOURZAT(フランス)167.40 1 1 2011EC

この3例。滑った両方が最終滑走で1位という運にも成績にも恵まれた無敵感の溢れるかっこいいやつです。

1 Andrei ROGOZINE(カナダ)200.13 3 2 2011WJC

アンドレイ・ロゴジンさんは2011年の世界ジュニアでSP3位(最終滑走)、LP2位(最終滑走)で総合1位という優勝の仕方をしました。両方とも1位でないのが珍しいのに両方最終滑走というダブルの珍しさ。この地味さが最高ですね。

1 Rena INOUE / John BALDWIN(アメリカ)168.89 1 1 2006FC
1 Miki ANDO(日本)195.09 2 2 2007WC
1 Sarah MEIER(スイス)170.60 3 2 2011EC

この3例は地元開催の大会で最終滑走で優勝したパターンです。会場が盛り上がるやつです。

そのほかのすごいやつ。

現行採点におけるSP最低順位からのメダル獲得
3 Konstantin MENSHOV(ロシア)237.24 11 3 2014EC
2 Anastasia MARTIUSHEVA / Alexei ROGONOV(ロシア)138.59 11 1 2009WJC

現行採点におけるSP最低順位からの優勝
1 Adam RIPPON(アメリカ)225.78 7 1 2010FC

現行採点における最終種目が3位以内ではない唯一の優勝
1 Anna CAPPELLINI / Luca LANOTTE(イタリア)175.43 1 4 2014WC

両方4位以下でメダル獲得
3 Javier FERNANDEZ(スペイン)249.06 7 4 2013WC
3 Kevin VAN DER PERREN(ベルギー)219.36 4 4 2009EC
3 Ross MINER(アメリカ)223.23 6 4 2012FC

統計によるかっこいいメダルの取り方はこんな感じでした。どうぞ、あの時の感動の優勝をもう一度思い出してみてください。映像がある選手にはリンクを貼りました。

あとはおまけ。
最終滑走で優勝
1 SHEN Xue / ZHAO Hongbo(中国)216.57 1 2 2010OWG
1 Stephane LAMBIEL(スイス)274.22 1 4 1 2006WC
1 Qing PANG / Jian TONG(中国)189.20 2 1 2006WC
1 Meryl DAVIS / Charlie WHITE(アメリカ)185.27 2 1 2011WC
1 PLUSHENKO Evgeni(ロシア)227.14 2 1 2005EC
1 Oksana DOMNINA / Maxim SHABALIN(ロシア)207.14 2 2 1 2008EC
1 Tatiana VOLOSOZHAR / Maxim TRANKOV(ロシア)220.38 1 2 2014EC
1 Yuko KAVAGUTI / Alexander SMIRNOV(ロシア)207.67 2 1 2015EC
1 Evan LYSACEK(アメリカ)196.39 5 1 2005FC
1 Marie-France DUBREUIL / Patrice LAUZON(カナダ)198.59 1 2 1 2007FC
1 KIM Yu-Na(韓国)189.07 1 3 2009FC
1 DAVIS Meryl / WHITE Charlie(アメリカ)192.39 2 2 1 2009FC
1 Madison HUBBELL / Zachary DONOHUE(アメリカ)158.25 2 1 2014FC
1 Maria MUKHORTOVA / Maxim TRANKOV(ロシア)150.91 3 1 2005WJC
1 Takahiko KOZUKA(日本)180.05 2 1 2006WJC
1 Julia VLASSOV / Drew MEEKINS(アメリカ)138.05 4 1 2006WJC
1 Kaitlin HAWAYEK / Jean-Luc BAKER(アメリカ)157.12 1 2 2014WJC

最終滑走での完全優勝
1 Jeffrey BUTTLE(カナダ)245.17 1 1 2008WC
1 Daisuke TAKAHASHI(日本)257.70 1 1 2010WC
1 Qing PANG / Jian TONG(中国)211.39 1 1 2010WC
1 Tessa VIRTUE / Scott MOIR(カナダ)182.65 1 1 2012WC
1 Yuna KIM(韓国)218.31 1 1 2013WC
1 NAVKA Tatiana / KOSTOMAROV Roman(ロシア)214.97 1 1 1 2005EC
1 Evgeni PLUSHENKO(ロシア)245.33 1 1 2006EC
1 Irina SLUTSKAYA(ロシア)193.24 1 1 2006EC
1 Aliona SAVCHENKO / Robin SZOLKOWY(ドイツ)202.39 1 1 2008EC
1 Jana KHOKHLOVA / Sergei NOVITSKI(ロシア)196.91 1 1 1 2009EC
1 Xue SHEN / Hongbo ZHAO(中国)203.05 1 1 2007FC
1 Daisuke TAKAHASHI(日本)264.41 1 1 2008FC
1 PANG Qing / TONG Jian(中国)194.94 1 1 2009FC
1 Mao ASADA(日本)179.24 1 1 2005WJC
1 Morgan MATTHEWS / Maxim ZAVOZIN(アメリカ)187.51 1 1 1 2005WJC
1 Ekaterina BOBROVA / Dmitri SOLOVIEV(ロシア)161.89 1 1 1 2007WJC
1 Elena ILINYKH / Nikita KATSALAPOV(ロシア)188.28 1 1 1 2010WJC
1 Wenjing SUI / Cong HAN(中国)167.01 1 1 2011WJC
1 Julia LIPNITSKAIA(ロシア)187.05 1 1 2012WJC
1 Alexandra STEPANOVA / Ivan BUKIN(ロシア)150.17 1 1 2013WJC

ミライ・ナガス・・・シニアのISUチャンピオンシップスにおいて現行採点で唯一SP1位でメダルを逃した選手(2010年世界選手権)。
バーバラ・フーザル=ポリ&マウリツィオ・マルガリオ・・・オリンピックにおいて現行採点で唯一初日種目1位からメダルを逃した選手(トリノ)。
グラント・ホクスティン、アンナ・オフチャロワ、キーガン・メッシング、シャオユー・ユー&ヤン・ジン・・・SP1位からメダルを逃した選手たち(2010年世界ジュニア、2011年世界ジュニア、2013年世界ジュニア)。
ヤニック・ポンセロ、エレーナ・イリニフ&ニキータ・カツァラポフ・・・ISUチャンピオンシップスにおいて現行採点で最終種目1位でメダルを逃した選手たち(2009年ヨーロッパ選手権、2014年世界選手権)。
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