2014
04.05

ベストプログラム

今年も暗いよ。

10位 ヴァレンティーナ・マルケイSP 「帰れソレントへ」

イタリアの音楽で、イタリア人のマルケイさんが、イタリア人のマッシモ・スカリの振付で滑るというオールイタリーアのプログラムでありました。誰にでも知られている曲でありながらフィギュアスケートで使われる機会があまりありませんでした。ロシアやアメリカのカントリーは使われますが、シングルやペアでもこういうプログラムが増えたらおもしろいなって思います。ステップの導入部からの手を握って前を見据える表情がたまりません。崖の上からソレントの街と海を見下ろすような、そんな情景が浮かんできます。通常ならばステップシークエンスのところ「止まらないで!」となるところですが、このプログラムだとそれが全然気にならないんですよ。この温かさを感じる、でも悲しいような郷愁を誘うような雰囲気。これがベテランの味です。彼女は現役をまだ続けるそうなので、さらに円熟味を増した、人生半分しか生きていない子供にはできないようなものをたくさん滑っていって欲しいです。

9位 ハンナ・ミラーLP 「プリマヴェーラ」

振付は昨シーズンに引き続きタニス・ベルビンです。アメリカ女子の確かなエッジワークに加え、とてもアメリカ女子スケーターが行っているとは言えないモダンなプログラム。というかタニスがこんなプログラムを振付けるなんて、彼女の現役時代のチアリーダーみたいな雰囲気からは想像もつきません。プリマヴェーラとは春という意味で、終盤にかけて冬との戦いをテーマにプログラムを作っているそう。このトランジションの濃さはとてもジュニア選手とは思えません。最初のジャンプは普通成功させて勢いづけたいところなのに、そこにすらトランジション入れています。スリーからレイバックでアップライトポジションで最後しっかり回っての出方も美しい。多くの選手がやっていることではあるけれど、美しくこなすから余計に良さが際立ちます。ステップの上体の動かし方も素晴らしい。キャメルスピン回ってすぐにトランジション。ループやってトランジション、トランジションから3F。常に動き回っていて、ストップする箇所が無いので、テーマの春と冬との戦いというものにも合っています。四季をギニャール&ファブリが滑っていましたが、あれも全く止まるところが無かったのでテーマを表現するのに、流れを止めないというのが一つポイントになるのでしょうね。ぜひこのプログラムは来シーズンも続行してほしいなって思います。

8位 カリス・ラルフ&アッシャー・ヒルSD 「The Lady Is a Tramp、They Can't Take That Away from Me」

ここまで音楽と一体化させたSDは今シーズン無かったと思います。ツイズルで2本目と3本目はきちんと歌が流れるまで待っているんですよ。そして曲が変わってからの表現素晴らしい。ローテーショナルリフトもきっちりとフレーズを取って回しています。ぶん回しローテーショナルに評価が高くなる時代ですが、それにNOを突きつけるような質の高さでした。最低でも+2で、+3が出てもおかしくないものだと思います。彼らはスケーティングがそれほど良いわけでは無いので、このように曲の助けを借りるというのは大切なことです。そしてそれをものに出来ていました。ショートダンスが始まって4シーズンで最高のプログラムだと思います。ラルヒルはSDで着た飴の包み紙みたいなドレスとか、素敵なフラメンコのプログラムとか何気に僕のツボを押さえてくれます。

7位 メーガン・デュハメル&エリック・ラドフォードSD 「トリビュート」

2006年に亡くなったラドフォードさんのコーチに捧げるために作られた曲でありました。このプログラムを滑る時にはラドフォードさんの気合が違います。いつも死にそうなほどにバテてしまうラドフォードさんがずっと元気で、この演技の時ばかりはデュハメルが引っ張られている感じがします。ダンスリフトからのスロールッツ、こねくり回しからのデススパイラルは大好きでした。世界選手権ではこねくり回しと、似合っていない衣装が似合う衣装に変えられていて残念でした。あの似合っていないところが良かったのに。バックグラウンド無しに、純粋にパフォーマンスとして感動をするということはフィギュアスケートを見ている中でほとんどありませんが、オリンピックの団体戦のSPは紛れもなく彼らの演技の中で最高だったと思います。団体の演技が77点で、世界選手権が73点だったら良かったのに。

6位 ヘンナ・リンドホルム&オッシ・カネルヴォFD 「ニューシネマパラダイス」

ニューシネマパラダイスの映画自体を特別好きなわけではないのですが音楽が好きなのですごく染みます。最初のスピンが良いです。なんだか映画のフィルムを巻いているようで。田舎の若い男女の恋物語という感じがして可愛らしいです。2人ともお顔立ちが少し昔っぽいのも感情移入できるポイントだったのかも。でも24歳と26歳(テサモエと同い年)でそんなに若いわけでもない。だがそれがいい。ちょっと大人が少し若い人間の物語を演じるというのが素敵なんです。僕も同世代なのでだから余計に良いなって思うのかも。なぜこのプログラムでフィンランドカラー衣装だったのか。

5位 ユストゥス・ストリードLP 「レ・ミゼラブル」

今シーズン10組の選手が使ったレ・ミゼラブル軍団のうちの1人です。彼のこのプログラムは2シーズン前に滑っていたものを復活させました。ステップとコレオシークエンスの間の振付と、コレオシークエンスの後のフィニッシュの仕方が変わっています。前演じていたのは衣装的にマリウスだったのですが、今シーズン途中からは赤いアンジョルラスの衣装に変わっていました。男子はマリウスばかりだったので新鮮でした。大きく振付が変わっているわけでは無いので、悩んでいるような振付のところは違和感ありますが、この革命に燃えているところと、民衆の歌で締める構成はアンジョルラスの方が合っていると思いました。ユーロでもワールドでもLPを滑ることが出来ず、残念ながら映像に残すことができませんでした。この画像はストリードさんのブログからなのですが、ストリードさんのブログの写真はピンボケ率100%です。男らしい。

4位 アデリナ・ソトニコワEX 「オブリビオン」

あちきは翼をもがれた郭の中の鳥でありんす・・・的なプログラム。体のセンターライン(鳥の顔?)が着物っぽくもあり(しかもちゃんと右前)、水色のが帯っぽくなっているというのもあり妄想が広がります。でもなぜ蛍光色にしてしまったんだろう。暗いリンクの中でこちらの方が映えて、孤独感が出るからでしょうか。この棒についたバサバサ欲しい。僕もこれ持って駆け回りたい。棒に布付けたら出来るかな。みんなでやろうソトニコワごっこ。エキシビションの音源は普通なのにどうして、競技用のプログラムはああいうのなのか。

3位 パイパー・ギルス&ポール・ポーリエFD 「ヒッチコックメドレー」

今シーズンのダンスで一番を決めるとすれば、恐らく8割の方はこれを挙げるのではないかというぐらいに評判の高かったプログラムでした。リフトのどれもが独創的なのが大きかったです。これだけで相当なインパクトがあります。ストレートラインリフトは四大陸までのが良かった。単に独創的なのではなく、曲との融合が見事でした。スピンは回転しにくくてレベルを取りづらいからか途中から変えてしまったのが残念でした。でも変えた後のも好きでしたよ回転速度速くて。トップ勢のカップルですらみんな同じようなステップ構成にする中、彼らは変わっていました。フリーレッグがバラバラだったのは今後改善していただきたいところですが。ステップで見ていて面白いのは2トップと、今シーズンはウィバポジェぐらいでしたから。大量の振付をこなすとなると、振付師の方もアイディアが枯渇してくるんだろうなーと。それとどうしてもレベルの取りやすい方向に行きますしね。おどろおどろしい感じが出ていてとても良かった、分かりにくいテーマなのに分かりやすかった。それに初見のインパクトがあるのに、それが最後まで続いたのも良かった。大抵初見インパクトのすごいものはシーズン終わりになると飽きますから。

2位 ユリア・リプニツカヤLP 「シンドラーのリスト」

滑り出しで振り返った時の表情から見ている者は引き込まれます。ああ、温かいココアを入れてあげたい。という気持ちに。前半にジャンプ2つ、後半に5つの構成でクドくならないのはセカンドトリプルを2つ前半に終わらせているからでしょうか。ソロジャンプ4つが後半になるので、ポーンポーンと連続で跳ぶことになってもしつこさを感じない。ジャンプをスピードの中で跳ぶのでトランジションの一つかのように感じさせてくれます。こういうところはジャンプに高さが無くてもGOEで評価される所以なのでしょう。スパイラルはもちろんのことポジションの一つ一つの保持が大変に丁寧で足を下ろすのも、一気にゴトッと落とさないのでより美しく見えます。この年齢でこのプログラムに巡り合えたのは幸運な事です。これから何十年にもわたって、これがシンドラーのリストの代名詞となって行くでしょうね。

1位 町田樹EX 「白夜行」

まっちーによるまっちーのためのまっちーの作品。振付町田樹。この作品は4分弱あるので少し伸ばせば競技用にも使えるんじゃないか?というぐらいに出来の良いものでした。ジャンプが4つもあるためクリーンなものはほとんど無かったのですが、それでも良かった。元々このドラマを見ていたし、映画も見たし、原作も読んだのですごく感情移入して見ることができました。ざっくり言うと、のっぴきならない事情で殺人を犯した幼い男女が、それを秘密のままに犯罪を重ねながら大人になって行くというストーリー。まっちーは主人公の男の方で最後は天を仰ぎ見ながら死んで行くわけですね。斜に構えてちょっと厨二な気持ちで見るのが良い。

暗いねえ。
コメント
白牛さんへ

音響がすごい大会とかありますものね。たまアリはフィギュアスケート史上最大に会場だったので、そこが難しかったのかもしれません。100分の1を聞き分けられるとはすごいです。
6番dot 2014.04.07 20:25 | 編集
Pさんへ

はじめまして、コメントありがとうございます。現役続行嬉しいですね。ベテランが増えてきたとはいえ、30代まで続ける選手はなかなかいないのでピョンチャンで滑る31歳のマルケイさんを楽しみにしています。
6番dot 2014.04.07 20:15 | 編集
せっかくマルケイの最後の見納めになる、帰れソレントへ。
音楽のテンポが100分の1遅くなってました。
残念至極。
そのためか、ジャンプがずれまくってました。
うぬう!われらがマルケイの有終の美をこんなにさせやがったな!と、今でも埼玉を恨めしく思っておりやす。

音響が下請けの業者なんだろうけどさあ。
なんでも行政は施設を下請けまかせにしているから。


あくまで私見なのですが。
感じたまで。
白牛dot 2014.04.07 19:05 | 編集
はじめまして。
いつも楽しく拝見させていただいています。

マルケイさんの「帰れソレントへ」衣装も含めて大好きでした!
現役続行ですか。うれしいです。

ユリアちゃんはSPLP共、若さ(幼さ?)を生かした曲をうまく選びましたね。すごくクラバーだと思いました。
来年のプログラムも期待してます。
Pdot 2014.04.07 17:40 | 編集
Mさんへ

これは全日本選手権のエキシビションです。産経ニュースのページから、大里直也さんの撮影ですね。このプログラム素敵ですよね、大好きです。
http://photo.sankei.jp.msn.com/essay/data/2013/12/25figure/
6番dot 2014.04.06 17:25 | 編集
町田選手のファンです。「白夜行」が1位に選ばれてうれしいです。
こちらのブログの写真はいつもどれもチョイスが素敵ですね。特に引退記事で載せられる写真にいつも感動しています。
この記事の白夜行の写真は泣きそうになりました。
私はあまり画像検索や収集をしないので、もしよかったら教えて欲しいのですが、いつの演技でどなたが(どの団体が)撮った写真ですか?
dot 2014.04.06 17:14 | 編集
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