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2019
05.31

ヴァネッサ・ジェームスが今秋のBattle of the Bladesに出演

https://www.ifsmagazine.com/vanessa-james-ready-for-battle/

ヴァネッサ・ジェームスがCBCのスケートリアリティー番組"Battle of the Blades"に出演することが発表されました。セレブリティーとスケーターがペアを組んで、一緒に演技を披露し、サバイバルを勝ち抜いていくという番組内容です。ヴァネッサは現役のスケーターとしては初めて参加が決まりました。今秋の放送予定で、まだ詳細なスケジュールは上がっていませんが、スケートアメリカとはぶつかってしまうようです。2時間番組を1本、1時間番組を6本の計7週放送予定なので、おそらく9月の頭に放送が始まると思います。

ヴァネッサはコーチやシプレ、連盟とも話し合ったそうなので、出演許可が下りたのでしょう。ISUから選手資格停止とされることもないと思います。そうじゃないと発表しないでしょうしね。また、GPSの派遣は遅い大会を希望を出すそうで、フランス国際(3週目)とNHK杯(6週目)がいいとのことです。2019-2020シーズンのメインはヨーロッパ選手権と世界選手権とも語っていました。

ですから番組を楽しみに待ちたいと思います。カート・ブラウニングがヘッドジャッジを務め、テッサ・ヴァーチュ&スコット・モイアもアイスショーツアーの合間を縫って2エピソードにゲストジャッジとして出演予定です。

そしてテサモエのアイスショーにコストナーさんの出演が決まっていることで、GPSをスキップすることを理解しました。ツアーの日程見たけど一か所だけ謎のオハイオ州がありました。オハイオ州はカナダだったのか。
2019
05.31

新プロ情報2

紀平梨花
SP:Breakfast in Baghdad 振付:シェイ=リーン・ボーン

FaOIの放送を観ましたが、まだまだ動きが音楽と一体にはなっていないです。LPが荘厳な感じなので、SPはこれぐらい攻めていいと思います。若いんだからどんどん新しいジャンルに挑戦していかないと、芸風が固まってしまいますもの。

アシュリー・ケインティモシー・ルデュク
LP:Experience by Ludovico Einaudi、ムーンライト 振付:パスカーレ・カメレンゴ

ベティナ・ポポワセルゲイ・モズゴフ
RD:キャバレー(“Willkommen” “Money, Money” “Mein Herr”) 振付:アンジェリカ・クリロワ、アルベナ・デンコワ、マキシム・スタビスキー

FDは"ボヘミアンラプソディー"と発表済みです。振付にデンスタが加わるそうです。とても楽しみです。インタビューに答える女性に貫禄がありました。ベステミアノワみたいでした。魔術使えそうでした。「私たちは誰かのコピーになんてなりたくない」と語っていましたが、十分独自路線走ってると思います。

ガブリエル・デールマン
LP:It's All Coming Back To Me Now by Céline Dion

新LPはセリーヌ・ディオンです。この曲はルナ・ヘンドリックスが2018-2019シーズンSPで使用していました。セリーヌの曲はフィギュアスケートとの親和性が高いです。タイタニックのやつとか、2018-2019シーズンのマライア・ベルたその感動の押し売り系SPとか。

マリー=ジャード・ローリオロマン・ルギャック
RD:ロシュフォールの恋人たち

ロシュフォールといえば町田樹氏ですね。あれよかったなあ。フランス人(とカナダ人だけど)なので、フランスの物語を演じてくれて嬉しいです。マリロマは表現がめちゃくちゃ無理そうだったシカゴさえも衣装以外はよかったので、あまり心配していません。FDはどうなるでしょうね。

失敗を省みて今回は小出しにすることに成功しました!
2019
05.30

ベストプログラム

体力がなくなってやらなくなったベストプログラム。3年間やっていなかったので3シーズンの中からベスト30をピックしようと思います。カテゴリー、所属国等のバランスは一切取りません。選考基準は僕の好みかどうかです。

※クソ長いです。

30 キャロラーヌ・スシース&シェーン・フィルス(カナダ)
2017-2019シーズン FD"I Won't Dance" "Cheek To Cheek"


2017-2018シーズンに好評を博し、なかなか結果の出せなかった2018-2019シーズンのカナダ選手権で復活させたプログラムです。構成の骨組みに変更はありませんが、エレメンツに入るタイミングが変わりました。曲が"Cheek To Cheek"に移る際のエレメンツが、変更前はストレートラインリフトなのに対し、変更後はダンススピンになりました。個人的には、リフトを上げた際に甘い歌声で曲が変わる変更前の構成が好きです。サーキュラーステップをワンフットステップに置き換えると尺が余ってしまうので仕方ないですけどね。このプログラムって「はいはいオタクどもはこういうのが見たいんでしょ?」というプログラムなんですけど、まさにその通りでして、ギャドボワの先生方に地面におでこ擦り付けてお礼言いたいぐらいの良プロです。これで2人が躍進を遂げましたし、世界に名前が知られと思います。「ダンスなんだから踊らなきゃ!ダンスなんだから男は燕尾着なきゃ!」というダンスファンの希望を叶えてくれました。クレームをつけるとすれば、男性が蝶ネクタイを付けなかったところです。なんで胸元開いとんじゃーい。

29 ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ(カナダ)
2016-2018シーズン EX"ゴースト"


エキシビションプログラムで唯一のランクインです。アイスダンスのしっとり系エキシはおもしろみに欠けるものが多々ありますが彼らは違います。2015-2016シーズンまで滑っていたロミオとジュリエットの"Kissing You"でも一味違う上質な大人の恋愛模様を見せてくれました。映画ゴーストでは主人公の男性が暴漢に襲われて命を落とすのですが、男性は恋人を守るために幽霊として現世に留まるのです。女性には幽霊になった男性の姿は見えませんが、やがて恋人に守られていることを理解します。最後に使命を果たした男性が天国へ旅立つ直前に再会します。暗闇でスポットライトに照らされながら滑る2人は、まさにそのクライマックスのシーンを表現しています。突然ゴーストが流行った時期がありましたけど、僕はウィバポジェのゴーストが一番好きです。

28 リュボーフィ・イリュシェチキナ&ディラン・モスコビッチ(カナダ)
2016-2018シーズン SP"タンゴジェラシー"


イリモーのキャリアハイとなった2016-2017シーズンの作品です。オリンピックシーズンに復活させました。ホールドを組んでから投げるスローフリップ、足をクロスさせてからスパイラルに移行し入るデススパイラルにグッときます。安易に得意のクリムキンイーグルからのデススパイラルを選択しないのがいいんです。きちんと曲想にあった入り方をしています。随所で女性のラインと柔軟性を活かし、フィニッシュ姿勢までエレガンスを失わない大人のタンゴプログラムでした。嫉妬と情念渦巻くアルゼンチンタンゴも好きですけど、上品なコンチネンタルタンゴも好きです。

27 アリョーナ・コストルナヤ(ロシア)
2017-2018シーズン SP"アディオス・ノニーノ"


「ロシアにこんなやべえやつがいるのか」と知ってしまったプログラム。エレメンツの完成度がジュニア選手としては異次元。シニアの選手を入れても大半のエレメンツの完成度が世界で5本の指に数えられるレベル。それだけでもすごいのに、ジュニア選手で"アディオス・ノニーノ"の哀愁を滑りの緩急で表現するという、表現モンスターの片鱗をも見せました。ステップシークエンスで常に膝が曲がってしまうチームエテリ共通の課題も見られません。案の定2018-2019シーズンは、完成度とPCSで同門のクワドプリンセスたちと渡り合いました。カロリーナ・コストナーさんのような唯一無二の選手に成長してほしいです。

26 ケイトリン・ホワイエク&ジャン=リュック・ベイカー(アメリカ)
2016-2018シーズン FD"愛の夢"


「オタクどもはこういうのが見たいんでしょ?」プログラムその2。はいその通りです。2017年全米選手権でのショッキングな転倒を経て、翌シーズンに持ち越しました。2018年大会でのストレートラインリフトでは拳を握りしめながら見守っておりましたよ。今でも安心できないので大きな大会では気合いを込めてリフトを見ています。トレードマークのカーブリフトをコレオリフトとして使用し、女性が爪先を氷にタッチしてフィニッシュする様は、素足の乙女が清泉に爪先をつけて、愛する人と時間を共にする喜びをしみじみと感じているように見えました。これからもダンスらしい演技で我々をブヒブヒ言わせてください。

25 樋渡知樹(アメリカ)
2017-2018シーズン LP"ラスト・オブ・モヒカン"


柔軟性を活かしたY字スパイラル、クリムキンイーグル、スプリットジャンプなどのトリッキーなトランジションが物語をドラマティックに紡ぎます。クドいほどに詰め込まれたトランジションですが、音楽のフレーズに合わせて雄大に滑る部分との対比はできていると思います。それに、アメリカンインディアンの話は外国人にとってはあまりなじみがないので、これぐらい派手な方が、物語が分からなくても感情移入できるのではないかと思いました。樋渡が男らしい表現をできると知ることができたプログラムです。これからもガンガン雄っぽさを推し出した演技を見せてもらいたいです。

24 ヴァネッサ・ジェームス&モルガン・シプレ(フランス)
2016-2018シーズン LP"Sound of Silence"


ヴァネシプの大躍進を支えたプログラムです。このプログラムで初めてヨーロッパ選手権の表彰台に立ち、初めて世界選手権のメダルを掴み取りました。2015-2016シーズンまでは、ツイストリフトに高さはあるのにキャッチができずに失敗ばかりしていたし、ペア経験者の女性に比べて男性のスケーティングスキルが低く、まっすぐにしか進めないので演技が平面的で見応えが薄かったです。彼らが滑る度にスタンブルしないか常に心配でした。2016-2017シーズンからジョン・ジマーマン門下となり、ツイストの問題が解消され、男性のスケーティングスキルが大幅に向上。それに伴いリフトの移動距離や滑らかさも格段に向上しました。このプログラムは4分30秒の間、ほとんど曲に変化がなく、ボーカルに呼応して滑りの強弱をつけないと退屈な演技になってしまいます。ところが、ジマーマンに移ってからの技術力向上で滑るのが可能になったわけです。スピードを上げて弧を描きながら入る3Sの質の高いこと。シングル選手並みの質のジャンプを、長身の2人がやってのけるわけですから当然迫力も出ます。ジャンプが表現の一部になる日が来るなんて思ってもみませんでした。

23 マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ(アメリカ)
2018-2019シーズン FD"プレスリーメドレー"


結成8シーズン目にして、ついに代表作に出会いました。これまでも悪くない作品はありましたが、初見の印象を超えることができなかったり、レベル取りのために振付を改悪するせいで見どころがなくなることが多々ありました。女性の足の怪我の影響でオリンピックシーズンを不本意な形で終えた上に、技術的なピークは過ぎてしまったのかと思っていました。ところがどっこい、トルン杯でのFDを観た瞬間「これだ!」と思いましたね。演技前半の"Fever"では女性の艶やかを余すことなく見せつけてくれます。リフトへの乗車能力の高さも健在でした。ストップパートの指パッチンがポイントになっていてかっこいい。演技後半は前半に帯びた熱が発火して"Burning Love"に。年甲斐もなく踊り狂ってしまう大人のカップルのようでかわいらしい。キャリアも終盤に近いと思いますが、ここにきて上達するとは思ってもみませんでした。スポーツの世界は何が起こるか分かりません。王道から脇道に入って大正解です。

22 リュボーフィ・イリュシェチキナ&ディラン・モスコビッチ(カナダ)
2017-2018シーズン LP"At This Moment"


早くも僕の偏った嗜好が露わに。イリモー2つ目です。2015-2016シーズンのベストプログラム第8位に、SP"Since I've Been Loving You"を選んだので、3シーズン続けてのランクインです。ほらね偏っているでしょう?でもイリモーの大ファンだったか問われると、そんなこともないんです。僕のツボを押さえまくっていたというだけです。デュベデビの2009-2010シーズンLP"追憶"に通じるものがある、切ない恋の物語を演じました。デイヴィソンがコーチなのも、当時を重ねて観てしまいます。男性がいくら愛を囁こうとも、もう終わってしまった恋を振り返らない女性は男性から視線を外し、距離を置こうとします。その様子が手を取るように分かります。キャリアハイだった2016-2017シーズンに比べ動きがかなり悪く、男性の手の負傷もあり、オリンピックには手が届きませんでした。2010年のケイトリン・ウィーバー、2014年のパイパー・ギルスに続き、市民権を取得したカップル競技の選手が、ほぼ確実であったはずのオリンピック出場を逃す例となってしまいました。逆を言うと、次のオリンピックにはリュボーフィ・イリュシェチキナは出場できるということです。新しいパートナーとともに、オリンピックの夢を掴み取ってもらいたいです。

21 アレーヌ・シャルトラン(カナダ)
2017-2019シーズン LP"サンセット大通り"


ストーリー全然知らないけど曲が大好きなんです。この曲はヴィクトリア・ヘルゲソンが2011-2012シーズンのLP(衣装の袖がもふもふしていた)で使用していました。国際Aに出場するレベルの選手に使われることはあまりありません。僕は映画もミュージカルも観たことはありません。調べてみたところ、このプログラムのハイライトの部分は、落ちぶれたサイレント映画のスターが妄想を肥大させて「私は輝かしい日々を取り戻して見せるの、私がいるべき場所に戻るのよ」と完全に狂ってしまうシーンのようです。シャルトランは3枠もあるピョンチャンオリンピック代表枠に漏れてしまう最悪の時期を経て、このプログラムを続けて使用することに決めました。主人公と重なる部分があったのではないかと思います。カナダ選手権でのカムバックは、夢が夢で終わらないことの証明です。完全復活とはいきませんでしたが、また強くなって戻ってきてくれるでしょう。

20 ユンスー・リム(韓国)
2017-2018シーズン LP"Grand Guignol" "オブリビオン" "リベルタンゴ"


"Grand Guignol"を上手く滑れるスケーターはジェイソン・ブラウンだけだと思っていました。彼女も負けず劣らず素晴らしい。パーカッションの激しいビートにトップスピードから入るジャンプがマッチしています。トランジションでの腕の表現もとてもいいです。このしなやかな腕使いこそ、第2のユナ・キムと認められる所以です。曲が"オブリビオン"に変わり、3Loへの助走の導入部分で腕を広げながら滑っています。まるでピンク色の夕焼け空を物悲しげに飛ぶ一羽のカラスのようです。ジュニアの女子選手としてここまでの表現は完璧だったと言えます。最後の"リベルタンゴ"パートは蛇足だった気がします。それがこの順位に止まった理由です。もう一度"Grand Guignol"に戻る方が自然にまとめられたのではないかと。

19 ベティナ・ポポワ&セルゲイ・モズゴフ(ロシア)
2017-2018シーズン FD"カルメン"


まず、彼女はこの4分間ではカルメンを演じているのかという疑問。パートナーが演じているキャラクターを放置して、ベティナ・ポポワがベティナ・ポポワを演じているという方が正しいのではないでしょうか。これはカルメンではないのです。ベティナ・ポポワの心に潜むヤバいものの具現化なのです。中堅でポポモズほど押しの強いステップシークエンスを2つ滑るカップルはそうはいません。画面から飛び出してきそうな圧は、笑えてくるぐらいです。2017-2018シーズンはこのプログラムで名前を売ったので、2018-2019シーズンは伸びると思っていたら少し下手になっていました(怪我もありましたけども)。年明けには盛り返したので、伸びていってほしいです。くれぐれも静かな曲は滑らないようにしてください。

18 ユリア・トゥルッキラ&マティアス・ヴェルスルイス(フィンランド)
2018-2019シーズン RD"Coco de Chanel" "ブエノスアイレスの春" "ポエタ"


2018-2019シーズンは10試合もの国際大会に出場しました。女性がツイズルでレベルを取りこぼしたのは初戦だけでしたが、男性はRD・FD通して20回中13回もレベルと取りこぼしました。シングル出身とはいえど、近年でここまでツイズルが苦手なダンサーは珍しいです。マルガリオ先生をリスペクトしてとんでもない失敗をしないようにしてください。プログラムはタンゴとフラメンコで構成されています。これは珍しいことではないのですが、このプログラムのいい部分は"ちょうどいい"ところです。2人ともシングルからの転向組なので、滑りやフットワークだけで2分50秒のタンゴを表現するのは、おそらく無理だと思うんです。フラメンコでガラッと雰囲気を変えることで、もっさりとした印象を与えずに済んでいます。ミッドラインステップでストップする部分がいいアクセントになっていました。ルックスは言うことない2人なので絵になります。

17 ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ(カナダ)
2017-2018シーズン SD"Do You Only Wanna Dance"


僕はオリンピックシーズン序盤から疲弊していた。SDが嫌になっていたのだ。毎週末、前半にねっとりさせて後半にサンバ音楽使ってリフトぶん回すという構成を嫌になるほど目にしていたのだ。パターンダンスの課題を考えてもみろ、あれはルンバじゃないか。どうしてルンバよりサンバの方が目立っているんだ。もう嫌だ嫌だああああああああああ……そんな気持ちでいた9月末、オータムクラシックで舞い降りた2人の天使がウィバポジェだったのだ。あっ……サンバがない!舘ひろしの映画"免許がない!"ばりにサンバがない!ボレロで身を寄せ合いながら踊った男女が、軽快なマンボでお互いの心を焦がし合う。そんな姿に胸が躍ります。シーズン序盤とミッドラインステップの振付が変わり、疾走感を重視したものになりました。これは砂浜を駆けてキャッキャウフフしているのでしょう。衣装は赤よりも黒の方がよかったです。大屋政子が付けていそうな南国の派手な髪飾りが素敵でした。アイスダンスでは、オリンピックに出場した24組中21組がサンバを使っていました。ねえ、僕の気持ち分かってもらえます?

16 ヘイヴン・デニー&ブランドン・フレイジャー(アメリカ)
2016-2017シーズン LP"ある日どこかで"


まず第一に僕はこの曲が大好きなんです。同じ曲を使ったマリー=フランス・デュブレイユ&パトリス・ローゾンの2005-2006シーズンFDや、アシュリー・ワグナーの2008-2009シーズンSPが好きでした。でも理由はそれだけではありません。デニフレは2014-2015シーズンを女性の怪我で全欠しました。その間、男性はマリナ・ズエワのところに行って、スケーティングと表現力を磨いていたわけです。ソロスピン後の男性のダイナミックかつしなやかな腕の動きと切ない表情で一気に引き込めるようになったのは、練習の大きな成果と言えるでしょう。そこから得意のリフトで一気に畳みかけます。心が動かされました。第三に僕はこの曲が大好きなんです。

15 ユリア・トゥルッキラ&マティアス・ヴェルスルイス(フィンランド)
2018-2019シーズン FD"ピアノ協奏曲第20番"


1シーズンで2プロがランクインです。僕の好みをよく分かっていらっしゃる。バラの柄の付いた衣装をまとう女性は、バラ園に佇む亜麻色の髪の乙女か、絵画の中の美女か、はたまた春を告げる女神か。いろいろ想像しましたが全部外れでした。インタビューで何について演じているか語っていました。彼らは、花に対して恋に落ちるハチドリを演じているそうです。男性の衣装の緑はハチドリの色だったのです。断じて草ではありません。コレオスピンの出でふんわりと女性を持ち上げるのが素敵です。風に吹かれた花弁がはためくように見えます。スケーティングスキルが発展途上でもまとまりがあるように見えるのは、女性の姿勢やポイントとなる振付時のフリーレッグがきれいに伸びているからだと思います。幼少期からバレエスクールに通っていたのが大きいのかもしれません。クラシック曲がほとんど使われなくなってしまった今、嬉しい選曲でもありました。

14 ミハル・ブレジナ(チェコ)
2016-2017シーズン LP"ワンス・アポン・ア・タイム リミックス"


30個選んだプログラムの中で、僕が普段なら毛嫌いするタイプの路線です。なぜなら4分半で6曲も使用しているからです。こういったプログラムは、往々にして表現が自己完結してしまって、何を演じているのかさっぱり伝わってきません。同じ作曲家の楽曲を使用しているといえど、別々の映画からの曲を組み合わせていますしね。ところがミハルは演じ切れているんですよ。音楽に合わせてしっかりと滑りの強弱を付けています。序盤は重厚な滑りで、カーブを描きながらリンクに存在感をアピールしていきます。その後は細かいフットワークを見せ、徐々に演技の男っぽさが増していきます。憂愁を込めつつも、それを振り切るようにターンからの3Aを着氷し、決闘の舞台へと立つ。そしてハッピーエンドですよ。このプログラムを全肯定できます。ストーリーなんていちいち説明されなくても、想像できてしまいます。

13 ウェンジン・スイ&ツォン・ハン(中国)
2018-2019シーズン LP"Rain, In Your Black Eyes"


僕は過去3シーズンのプログラムはSPの方が好きだったんです。LPは王者感狙いすぎな感じがして、あんまりだったんですよね。特に2017-2018シーズンLP"トゥーランドット"はやりすぎだったと思います。2018-2019シーズンはGPSを欠場し、中国の国内大会で復帰しましたが、LPは滑ることなく、練習映像だけがネットにアップロードされていました。エレメンツを抜いた状態での滑りだったのですが、その時点で僕は惚れ込んでしまいました。冒頭のダンスリフトからして異質です。ゆっくりと手足を伸ばす振付は多く見られるものではありませんから。スローフリップからの後半の盛り上げ方はヤバいですね。コレオシークエンスは、アイスダンスのコレオステップぐらいのボリューム感があります。そこから猛スピードのポジションチェンジでリフトを2つ。身長差が30cmあるジュニアペアのようにグルングルン回していくのが気持ちいい。世界選手権での演技は、2018-2019シーズンの全選手全演技中ベストパフォーマンスでした。あれを現地観戦できた方は幸せものだと思います。女性はこの曲が嫌いなので、ネオクラもういいよマンと化した僕としては、もうこういった曲滑らない希望が持てました。だってこれが最高到達地点だから、別の路線で最高のものを見せてくれる方が嬉しいですもの。史上最高のペアになってください。

12 カリーナ・マンタ&ジョセフ・ジョンソン(アメリカ)
2018-2019シーズン FD"Sweet Dreams"


女性の髪形がアニー・レノックス風味で、見た目からして入りきっています。トランジションでのムーブメントの入れ方、反復の仕方が昔のアイスダンスっぽいです。さすがはクリストファー・ディーンという仕事ぶりです。体をペシャンコになるまで反らせて両膝をついて回転するコレオスライディングがたまりません。ズサーソムリエの僕から格付けAAA認定を出します。彼ら以外でAAAが出るのは、ポポモズの今シーズンの初期のコレオスライディングだけです。コレオステップでのヴォーギングもたまりません。独自の魅力を出して大成功しました。「俯かずに前に進め!」という歌詞に合わせてのローテーショナルリフトは、迷っているすべての人に対して、さらには彼ら自身へのメッセージのように感じます。現役の最後に素晴らしい作品を見せてくれました。

11 エミー・ペルトネン(フィンランド)
2018-2019シーズン LP"SAYURI"


冒頭ジャンプが4本続きます。"まだ日の出た花街を歩いていると、一片の桜の花弁が疏水に落ちた。それを追いかけていったけれど、多くの花弁が堰に折り重なって滞留している。自分もこんな風に一生この街から出ることはできないのだろうか。誰とも視線を合わせず、伏し目がちな少女は幼心にそう思うのであった"という描写を想像できなくもない雰囲気を醸し出しています。妄想力を刺激してくれます。実際にそういった感じのシーンはありますが、こんな具体的なものではありません。少女から大人への成長は、スローパートに入って表現に艶めかしさが加わったところで理解できます。ステップシークエンス中の加速が素晴らしいです。体の残し方なんかも、本当に艶っぽいんですよ。すべての男たちの視線を釘付けにします。柔軟性がある方ではありませんが、曲に合わせたドラマティックなレイバックイナバウアーからイーグル、そしてレイバックスピンで魅せてくれます。さいたまの世界選手権でこれを滑れなかったのが残念です。日本人選手が滑る日本のプログラムよりもしっくりきました。

10 アシュリー・ワグナー(アメリカ)
2017-2018シーズン LP"ラ・ラ・ランド"


2017-2018シーズンに滑る予定だったけれど、よりドラマ性のあるものを求めて"ムーラン・ルージュ"を復活させグランプリシリーズを戦いました。2017-2018シーズンには、ドラマティックなプログラムはたくさん生まれましたが、成熟した女性の表現で魅せるプログラムはほとんどなかったので、皮肉にもこちらで戦い続けた方が個性が際立っていたでしょう。たらればを言っても仕方のないことではありますが、もっと滑り込む時間があれば結果は変わっていたかもしれません。女優での成功を夢見る女性を演じるという点においては、実は"ラ・ラ・ランド"も"ムーラン・ルージュ"も同じなのですよね。イケイケだった頃のアシュリーならサティーンでよかったですが、ベテランと呼ばれる年齢になったからこそミアが似合うわけですよ。今成功を掴まないともう後がない……というリアリティーも表現を後押しします。そしてアシュリーのスケート人生と重ね合わせながら観てしまいます。アシュリーはスケートが伸びるタイプではないので、じっくりスケートを見せる部分というのは意図的に省いているのだと推測できます。すぐにターンや方向転換をするか、エッジに乗って滑るときはスパイラルやポージングで足元以外に注目が集まるように構成しています。振付をしたシェイリーンはアシュリーの長所と短所をよく理解していますね。

9 山隈太一朗(日本)
2018-2019シーズン SP"君の名前で僕を呼んで"


選曲をしたのはお母様らしいですね。母センスがすげえよ母。どんな母だよ母。映画の中から"Hallelujah Junction"と坂本龍一の"M.A.Y. in the Backyard"という曲を組み合わせています。"M.A.Y. in the Backyard"は、ジェフリー・バトルが2008-2009シーズンに滑る予定の曲だったんです。曲目を発表してから引退してしまったので、バトルファンの僕としてはずっとモヤモヤしていました。それが、映画からの曲という形で10年後に滑る選手が現れるなんて感無量。彫像のように美しいけれど、決して純粋無垢ではなく、世の中を斜に構えて見ているような知的な少年。でも、やっぱりそこには理論で解決できないような年相応の心の葛藤があって、自分をコントロールできない。高さのあるジャンプが恋する胸の高鳴りとして、前半のリンクを大きく使った滑りが平静を保とうとする様子として伝わってきます。全日本選手権のときに、カロリーナ・コストナーが滑りそうな曲に思いましたが、そのクラスのスケーターが滑ってこそ演じられる難易度の高い選曲だったと思います。それを自分のものにできていた山隈は、とんでもない芸術派のスケーターに成長するのではないかと期待せざるを得ません。

8 ナタリア・カリシェク&マクシム・スポディレフ(ポーランド)
2016-2017シーズン FD"ダーティ・ダンシング"


このプログラムに関してはあまり説明はいらないですね。観れば分かります。めっちゃダサいんです。最初から最後までずっとダサいんです。60年代と80年代のセンスのダサさが集約され、シルヴィア・ノヴァク先生の振付の古臭さ(でもテクニカルスペシャリストだから点数はちゃんと取れる)で、ダサさが極限にまで高められています。これを観ると絶対に笑顔になってしまうんです。"Time of my life"はナタリー・ペシャラ&ファビアン・ブルザのエキシビションが素敵でしたけど、あの洗練さっぷりとは対極にあって最高でした。これからもずっとダサくいてください。洗練されたら承知しません。

7 マライア・ベル(アメリカ)
2016-2018シーズン SP"シカゴ"


超絶スタイルで小悪魔ロキシーを演じました。2シーズン使ったプログラムですが、2016-2017シーズンの序盤から振付は変わりました。ジャンプ前の振付が簡略化されたのでジャンプは跳びやすくなりましたが、見応えとしては振付がたくさん入っている方が上です。ステップシークエンスの最初と最後も手を加えています。変更前の方はピョンピョン跳ねる振付が多いので、無邪気さが一層際立ちます。罪を犯したロキシーが悪びれることなく塀の外に出て、華々しい舞台に立ち喝采を浴びる様子が伝わってきます。初期は衣装に髪飾りがあったのに外してしまってもったいない。衣装と同じでギランギランで素敵なのに。

6 パイパー・ギルス&ポール・ポワリエ(カナダ)
2017-2018シーズン FD"007"


元々最初のFDは"ペリー・メイスン"でしたが分かり辛かった。前のオリンピックシーズンは、オリンピックにこそ出られませんでしたが"ヒッチコック"という名作を世に送り出してくれましたから、その分ガックリきました。オリンピックまで2カ月の時点でプログラム変更となりましたが、なんと成功しちゃったんですね。しかも振付の大半を前のプログラムから流用したんです。それで成功しちゃったんです。不思議なもんだ。彼らは他の選手がやっていることとは絶対に違うことをするという点が優れています。ジェームス・ボンドを演じるとなれば男子はアクションで女子はセクシー。こういうのばかりですよ。彼らはそういったテンプレートになりがちな部分を避けに避けて、紫煙のくゆるウィスキーバーで駆け引きをするかのようなボンドの様子を見せてくれました。曲調が激しくなったシーンは、寝返ったボンドガールを車の助手席に乗せて追手を巻く様子に見えます。そこには何の焦りもなくて、ジェルで固められた髪は一切乱れがない。いやあ痺れましたね。フィギュアスケート界に"007"プログラムの新たな形を提案してくれました。まだまだやれることはあるぞと。それに加えて数十年前のスターみたいなルックスじゃないですか。それがまあ映えることなんの。

5 宮原知子(日本)
2018-2019シーズン SP"Song For The Little Sparrow"


シーズン中に振付を手直ししたのでいくつか変わっている部分があります。3Lz-3T着氷時の方向転換が変わったのと、全体的にですが、手を上げるタイミングがゆっくりになりました。曲との調和を重視したのだと思います。ステップシークエンス中のスパイラルはランジに変更になりました。これは、スパイラルを入れることでその直前でステップシークエンスが終わってしまったと判断されるのを防ぐためだそうです。ステップシークエンスには"表面を十分に活用しなければならない"という要件があります。きっと、スパイラルがステップシークエンスの一部としてカウントされなくても、その要件は満たすことができると思います。ただし、スパイラル以降をトランジションだと判断されると、GOEに関わってくるんです。連続ツイズルはこのプログラムの肝なので、絶対にステップシークエンスの一部として判断してもらいたいと考えた。だからランジに変更したのでしょうね。実際、僕はステップシークエンスはスパイラルの前で終わりだと思っていました。スパイラルの方がドラマティックですが、ランジにする方がリスクヘッジできるのです。1990年代のムービースターを演じるということで、レッドカーペットでフラッシュを浴びる女優としては白い衣装が華やかで似合っていました。衣装単体で見ても白い方はかなりお気に入りです。ただし、演技中ということを考えるのであればスモーキーネイビーの衣装の方がスカートや背中の布に動きがあってよかったと思います。これはもう個人の好みの話。女優は華やかなレッドカーペットに立つ裏側で、オーディションを勝ち抜き、演技力向上やスタイルキープにたゆまぬ努力を重ね、醜聞にも耐えて笑顔を作っているのです。それは女優だけでなく、フィギュアスケート選手にも言えることなのではないかと思いました。だから彼女の2016-2017シーズンの怪我からオリンピックでの復活を重ねながら観ていました。そんな意図はないのかもしれませんけどね。2015-2016シーズンのLP"ため息"が僕としては大ヒットプログラムだったので、3年スパンで僕のお気に入りを滑ってくれているということになります。だから次は2021-2022シーズンにヒット作出ますよ。

4 シャルレーヌ・ギニャール&マルコ・ファブリ(イタリア)
2018-2019シーズン FD"ラ・ラ・ランド"


"ラ・ラ・ランド"2プロ目のランクインです。こうなってくると、単に僕が曲を好きなんじゃないか疑惑が浮かびますがそんなことはありません。これは普通です。自分の昔から夢と、愛する人との幸せな将来を両天秤にかけて揺れ動く心理が、サーキュラーステップと移動距離ありすぎなシンクロナイズドツイズルで表現されています。2018-2019シーズンのように、ツイズルでの独創性がそれほど重要視されていない頃からツイズルには凝っていたので、お茶の子さいさいです。1つ目のリフトはカーブリフトからローテーショナルリフトに変更されました。このカーブリフトが地味だし浮いていしGOEも低かったので変更してくれて本当によかった。コレオステップの部分は2人の幸せな将来を取ったパターンを想像したシーン。でも、結局自分たちの夢を優先して別れ、お互いに成功を収めるわけです。4分間のフィニッシュは「これでよかったんだよね」と目線でお互いに語りかけているのです。ストレートラインリフトからコレオリフトの浮遊感がフィニッシュの切なさを際立たせます。2人がリアルカップルだから、余計に物語がダイレクトに伝わってきます。このプログラムがあったから、万年国内2番手に甘んじていた2人が、グランプリファイナルやヨーロッパ選手権の表彰台に立てました。ララランダーの皆様は、これから常にギニャファブと比較され続けるのです。これには並大抵のプログラムでは敵いません。

3 ライラ・フィアー&ルイス・ギブソン(イギリス)
2018-2019シーズン FD"ディスコメドレー"


2018-2019シーズンの第1位はこちらです。秋の時点で確定していました。こういったプログラムが1シーズンに1つは欲しい。そう思わせてくれる最高のディスコメドレーです。彼らもシーズン中に振付に手を加えました。コレオステップはもっと男女の距離が空いていましたが、男女のコンタクトと交差を増やして、ダンスっぽさを強調しました。だからシーズン序盤とは男女の踊る位置が逆になっている部分があります。このコレオステップで驚かされるのは「え?男性こんなに踊れるんすか?」というところですよね。失礼ながらめちゃくちゃ踊れなそうなのに体がギュインギュイン躍動します。そのギャップもポイントです。ローテーショナルリフトは、直前のトランジションを変更しました。また、回転中のポジションはキャッチフットから足を伸ばすようになりました。回転から上下させる振付がポイントです。これは絶対に盛り上がります。手拍子せざるを得ないでしょう。競技会では手拍子しないマンの僕でも手拍子したいです。カーブリフトは入る位置が逆になりました。変更前はジャッジ席側から、変更後は客席側からです。ここでちょうどスローパートに入るので、変更後の軌道の方が滑らかに見えます。シーズン中に、アイスダンス的にどうした方が美しく見えるかというのを的確に分析できていますね。エネルギッシュだったけどラフでもあった演技が洗練されました。中堅カップルでは難しいワンフットステップもリンクの外周を縫うように進んで曲の疾走感と相まってかっこいいし、コレオツイズルでまたギュインギュイン踊るし、コレオスライディングでキャーキャー言われるし。テンションが上がらないパートがないんです。アイスダンスではプログラムの出来不出来が順位に及ぼす影響が大きいです。満塁ホームランを飛ばしたからこそ、ごぼう抜きができました。これは2019-2020シーズンの選曲難しいぞー。女性の衣装は初期の地味なものが似合っていたかなと。水色のキラキラ衣装はプリキュアに見えます。

2 アダム・リッポン(アメリカ)
2016-2018シーズン LP"O"


最初は2015-2016シーズンのエキシビションでした。2017-2018シーズンのLPに使用する考えがあったそうですが、2016-2017シーズンで競技用プログラムとして採用し、翌2017-2018シーズンも持ち越しました。2016年に読んだインタビューでは「オリンピックシーズンにはもっといいプログラムを用意できる自信がある」と語っていたのですけどね。エキシビションとして初披露したときから、その完成度には圧倒されました。プログラムのストーリーは「群れのリーダーの鳥が羽を怪我してしまった。しかし力を再び取り戻し、勝利のために自由に飛び回る」というものです。2016-2017シーズンと2017-2018シーズンの振付が丸っきり違うのは、2016-2017シーズン中に骨折をして、そこから復活するというのを重ねたからだと思います。だから、新振付の方は鳥要素がかなり薄くなっているというか、全然怪我してないっぽいというか、徹頭徹尾リッポンがリッポンを演じているように見えました。だから僕が好きなのは、設定したストーリーに忠実な2016-2017シーズンバージョンです。音楽が進むにつれて徐々に腕の動きが増え、生命力溢れる表現を見せてくれました。振付変更後はコレオシークエンスからスピン2つのフィニッシュになってしまって、コンセプトがぼやけていました。リンクという大空を縦横無尽に飛び回り、高速のコンビネーションスピン1つでフィニッシュという流れの方が好きです。アシュリーの"ラ・ラ・ランド"のようにスケート人生が重なって、いい作用を生み出すものもありますが、やりすぎは禁物なのです。

1 樋口新葉(日本)
2017-2019シーズン LP"007"


受賞しても特に栄えない第1位は新葉ボンドでした。"007"のプログラムがトップ10に2つも入りましたが、映画や曲が好きなわけではありません。2016-2017シーズンLP"シェヘラザード"で女性らしい表現を身に付けたので、てっきり最初は「オリンピックシーズンにベタなやつパターンねーーーセクシーなボンドガールねーーー」と思って箱を開けたらあらビックリ。女性版ジェームス・ボンドを演じているではありませんか。猛スピードから冒頭の3S(もしくは2A)の幅の迫力よ。拳銃構えなくても、彼女のジャンプと爆走スケーティングが弾丸ですね。シリアスな"Skyfall"へと音楽が切り替わり、緊張から解き放たれるように3Lz-3Tを射出します。最後のジャンプが踏み切りに課題のある3Fというのがいい味出してます。不可能と思われるような仕事をやり遂げるボンドの姿ここにありですよ。ステップシークエンスのロッカーカウンター連続ツイズルの滑り出しがかっこいいです。彼女は右足でのツイズルが得意なようなので、アイスダンサー並みのぶっ壊れた移動距離を叩き出せるのですね。険しい表情でのニースライド、そしてダイナミックなファンスパイラル、軸の乱れないレイバックスピンでクールにプログラムをまとめます。今まで女子シングルの選手が演じる"007"でここまで魅せられたことはありませんでした。衣装としてはブルーのドレスが素敵なのですが、ボンドになるのであればブラックの方が似合っていますね。新調してよかったです。

選出と執筆に3週間かかりました。

カテゴリー 男子4:女子8:ペア5:アイスダンス13
シーズン(続行したものは1シーズン目のプログラム扱い) 2016-2017 9:2017-2018 11:2018-2019 10
所属国 アメリカ8:カナダ7:フィンランド・日本3:ロシア2:中国・チェコ・フランス・イギリス・イタリア・韓国・ポーランド1

僕のベストプログラム選出理由はざっくりこの4種類に分類できます。
1.現状の打破
2.革新性
3.選手のバックグラウンドとドラマ性
4.曲が好き

これらに該当する数が多いと上のランクになります。

自分でもこんなに男子のプログラムが候補に上がらないかな?と思って、過去3シーズンのプログラムの一覧を目にしていったわけですが、ほとんど出てこなかったです。「4回転ジャンプがあるからトランジションや表現はしょうがないよね……」が、知らず知らずのうちにめちゃくちゃ効いていたんだと思います。

意外にも、保守的な選曲傾向の強かった2017-2018シーズンから最多11個がランクインしました。でもオリンピックで観られたのはウィバポジェのSDとパイポーのFDだけですし、ヴァネシプやリッポンは持ち越しでした。持ち越しプログラムを使うのは戦略だから文句はありません。が、前シーズンの印象を超えることは極稀なので、2017-2018シーズンはプログラムではなくパフォーマンスそのものを楽しむことにシフトしていました。2018-2019シーズンはおもしろいプログラムが増えたので嬉しかったです。2019-2020シーズンは僕が4年間で最も好きな中間年です。めっちゃ攻めてほしいです。

歴代のベストプログラム
2015-2016シーズン 宮原知子 LP"ため息"
2014-2015シーズン ガブリエラ・パパダキス&ギヨーム・シゼロン FD"ピアノ協奏曲第23番"
2013-2014シーズン 町田樹 EX"白夜行"
2012-2013シーズン ネッリ・ジガンシナ&アレキサンダー・ガジ EX"Dance My Esmeralda"
2011-2012シーズン ジェレミー・アボット SP"素敵なあなた"
2010-2011シーズン シニード・カー&ジョン・カー FD"交響曲第3部あがない"
2009-2010シーズン チン・パン&ジャン・トン LP"見果てぬ夢"

過去のベストプログラムへのリンク
2015-2016シーズン
2014-2015シーズン
2013-2014シーズン
2012-2013シーズン
2011-2012シーズン
2010-2011シーズン
2009-2010シーズン
若い頃の自分のノリがヤバい。
2019
05.28

マイア・シブタニ&アレックス・シブタニ 来シーズンも休養

https://www.usfsa.org/story?id=92436&type=media

マイア・シブタニアレックス・シブタニは、2018-2019シーズンに続き2019-2020シーズンの競技会を欠場します。アメリカフィギィアスケート協会からの発表がありました。

2人はこの1年、SOIや中国や日本でのアイスショーだけでなく、スポーツ特使の活動や各種イベントへの参加など、いろいろな分野で活躍してきました。この先彼らがアマチュアスケーターを続けるとしても、競技を辞めて別の道に進むにしても、とても有意義な時間を過ごせたのではないかと思います。満足のいく決断をしてくれればいいですね。
2019
05.28

ISUコミュニケーション2256 アイスダンスの新基礎点

https://www.isu.org/figure-skating/rules/fsk-communications/21253-isu-communication-2256/file

2019-2020シーズンの基礎点が発表になりました。シングルでは回転不足のジャンプの基礎点が上がる程度でしたが、アイスダンスは大半のエレメンツの基礎点が変更されました。

パターンダンスはジュニアもシニアも基礎点が上がります。また、シニアのRDではパターンダンスタイプステップが復活したので、新たに基礎点が設けられました。こちらはツイズルやワンフットステップと同じように、男女別々でレベル判定が下され、そのレベルに応じたGOEが加算されます。パターンダンスよりも基礎点が高いので、パターンダンスパートの満点は2018-2019シーズンよりも上がります。パターンダンスタイプステップのレベル判定の厳しさが気になるところです。2016-2017シーズンまでのように鬼厳しくてレベル4を獲るのが至難の業となるのか、2017-2018シーズンのようにぼちぼちなのか。

スピンとリフトはレベル1~3の基礎点とGOEの加点幅が上昇。ツイズル、ワンフットステップ、ステップシークエンスはレベル3~4の基礎点が上昇します。こちらのGOEは据え置きです。

1年前と同じように仮想満点を計算しました。
リズムダンス
2018-2019シーズン リズムダンス仮想満点
タンゴロマンチカ第1セクション 6.85+4.01
タンゴロマンチカ第2セクション 6.85+4.01
リフト 5.30+1.73
シークエンシャルツイズル女性 3.17+1.82
シークエンシャルツイズル男性 3.17+1.82
ステップシークエンス 7.95+4.84
基礎点合計 33.29
GOE合計 18.23
TES合計 51.52
PCS満点 40.00
仮想満点 91.52

2019-2020シーズン リズムダンス仮想満点
フィンステップ第1セクション 7.35+4.01
パターンダンスタイプステップ女性 4.23+2.42
パターンダンスタイプステップ男性 4.23+2.42
リフト 5.30+2.29
シークエンシャルツイズル女性 3.42+1.82
シークエンシャルツイズル男性 3.42+1.82
ステップシークエンス 8.45+4.84
基礎点合計 36.40
GOE合計 19.62
TES合計 56.02
PCS満点 40.00
仮想満点 96.02

フリーダンス
2018-2019シーズン フリーダンス仮想満点
リフト (5.30+1.73)×3
スピン 6.00+2.25
ステップシークエンス 7.95+4.84
ワンフットステップ女性 3.17+1.82
ワンフットステップ男性 3.17+1.82
シンクロナイズドツイズル女性 3.17+1.82
シンクロナイズドツイズル男性 3.17+1.82
コレオエレメンツ (1.10+4.15)×3
基礎点合計 45.83
GOE合計 32.01
TES合計 77.84
PCS満点 60.00
仮想満点 137.84

2019-2020シーズン フリーダンス仮想満点
リフト (5.30+2.29)×3
スピン 6.00+2.81
ワンフットステップ女性 3.42+1.82
ワンフットステップ男性 3.42+1.82
シンクロナイズドツイズル女性 3.42+1.82
シンクロナイズドツイズル男性 3.42+1.82
ステップシークエンス 8.45+4.84
コレオエレメンツ (1.10+4.15)×3
基礎点合計 47.33
GOE合計 34.25
TES合計 81.58
PCS満点 60.00
仮想満点 141.58

総合得点
(2017-2018シーズン SD85.30 + FD124.70 = 210.00)
2018-2019シーズン RD91.52+FD137.84=229.36
2019-2020シーズン RD96.02+FD141.58=237.60

基礎点もGOEも変わったので、さらに高得点が出やすくなると思います。総合得点の仮想満点は8.24も上がりました。パパシゼは間違いなく歴代最高得点を更新できます。大半のカップルはレベル判定が厳しくない限りはパーソナルベストを更新できるでしょうね。細かいルールが変わったところで、上位勢はステップエレメンツでレベル4をいくつ取れるかの戦いになることに変わりはないと思います。
2019
05.24

新プロ情報1

溜まりに溜まっていた新プロの曲目に茶々を入れます。

友野一希
SP:Wayne McGregor's Chroma 振付:フィリップ・ミルズ
LP:ムーランルージュ 振付:ミーシャ・ジー

友野の新SPにはクソ期待してもよかですか?ミルズさん振付のバレエプロなんて期待しないはずがない。

本田真凜
SP:Seven nation army (続行)
LP:ラ・ラ・ランド 振付:ローリー・ニコル

樋口新葉
SP:Bird Set Free 振付:シェイ=リーン・ボーン
LP:ポエタ 振付:マッシモ・スカリ

カレン・チェン
SP:You Say by Lauren Daigle
LP:Illumination by The Secret Garden

このLPの曲は井上怜奈&ジョン・ボールドウィンが2008-2009シーズンのSPで使ったやつだ!あのSP好きだったんです。だから嬉しい。スパイラルで優雅にリンクを飛び回ってほしいです。この秋にコーネル大学に入学してヒト生物学を専攻するそうです。アメリカのスケーターって高学歴が多いです。イェール、ハーバード、MIT、コロンビア、UCLAなどなど。頭いい人ってパワーありますよね。

エリザヴェート・トゥルシンバエワ
SP:死の舞踏 by カミーユ・サン=サーンス

ベティナ・ポポワ&セルゲイ・モズゴフ
FD:ボヘミアン・ラプソディー

エフゲーニャ・メドベージェワ
SP:エクソジェネシス第3部 振付:イリヤ・アベルブフ
LP:SAYURI

ウィルソン振付に合わない珍しいスケーターメドベージェワさん。SPはアベさんの振付です。禁止曲筆頭ですが、どのような仕上がりになるでしょうか。

アレクセイ・クラスノジョン
SP:Freedom by Pharrell Williams 振付:アレクサンダー・ジョンソン
LP:ドラキュラ 振付:アレクサンダー・ジョンソン

アンドリュー・トルガシェフ
SP:Bloodstream by Tokio Myers
LP:トスカ

髙橋大輔
LP:Pale Green Ghosts (続行)

樋渡知樹
LP:ペトルーシュカ 振付:トム・ディクソン

めちゃくちゃ珍しい選曲ですね。お人形さんになるのか。かわいいプログラムになるといいなあ。SPは未定ですが、2018-2019シーズンと同じくマーク・ピレイに振付をしてもらう予定だそうです。

小松原美里&ティム・コレト
RD:ドリームガールズ
FD:ロードオブザダンス

アンナ・シェルバコワ
SP:パフューム ある人殺しの物語

アリョーナ・コストルナヤ
SP:Eyes On Fire by Blue Foundation, Supermassive Black Hole by Muse
LP:No One Ever Called Me That

コストルナヤは、SPでトワイライトのベラを演じるそうです。

ハンナ・ハレル
SP:エディット・ピアフ、タンゲーラ 振付:ミーシャ・ジー
LP:パガニーニの主題による狂詩曲 振付:ミーシャ・ジー

ハン・ヤン
LP:ラ・ラ・ランド

ミハイル・コリヤダ
SP:Wind Of Change by Scorpions

みんな大好き蠍団。フィギュアスケートで聞き飽きたMaybe I Maybe Youじゃない!ソ連の社会主義の衰退を歌っているのはロシア的にOKなのか?

マライア・ベル
SP:Work Bitch by Britney Spears 振付:アダム・リッポン

2019-2020シーズンもりっぽんぽん振付になるようです。彼女としてはチャレンジングな選曲ですね。けばけばしく、盛り上がるプログラムに仕上がってほしいです。

山本草太
SP:エデンの東 振付:パスカーレ・カメレンゴ
LP:In This Shirt by The Irrepressibles 振付:パスカーレ・カメレンゴ

LPの曲は2018-2019シーズンのケヴィン・エイモズLPや、ケイトリン・ホワイエク&ジャン=リュック・ベイカーのFDで使用されました。The Irrepressiblesがフィギュアスケート界でめっちゃ流行ってる。

紀平梨花
LP:O Virtus Sapientiae by Maya Beiser 振付:トム・ディクソン

宮原知子
SP:Yalla, Tabla & Percussion Solo, Egyptian Disco (Buddha Bar Edit) / DJ Disse 振付:ブノワ・リショー
LP:シンドラーのリスト/鐘/ハティクヴァ 振付:ローリー・ニコル

SPはエジプト調の曲です。今までになかった動きがたくさんある振付になるそうです。日本選手がどんどんブノワに染まっていく。LPのシンドラーのリストのリミックスは、2015-2017シーズンのペーター・リーベルスや今シーズンのロマン・サドフスキーが使用しました。悲しみ、苦しみ、そしてヒューマニティを表現するプログラムだそうです。シンドラーのリストはテーマが重いですが、滑りやすい旋律なので感情は込めやすいと思います。

ジェイソン・ブラウン
LP:シンドラーのリスト 振付:デヴィッド・ウィルソン

ブラウンはユダヤ人なので、演じることの想いも一入なのではないかと思います。美しい音楽は彼の滑りと確実にマッチするでしょう。宮原とブラウンのプログラムどちらが人気になるかな?

マディソン・ハベル&ザカリー・ダナヒュー
FD:アリー スター誕生

氷上のレディーガガことマディソン・ハベル、銀盤のブラッドリー・クーパーことザカリー・ダナヒュー。これ観てないから観なきゃ……。あとはエキシビションをキャプテンマーベルにしてくれれば嬉しいです。よろしくお願いします!

この中で特に楽しみなのは友野SP、ポポモズFD(主に弾けっぷりに対して)、樋渡LP、草太LP、ハベドノFDです。ロシア選手はテストスケートで連盟の横やりが入らないことを祈ります。いいプログラムがたくさん生まれますように。今度からもっとこまめに新プロ情報確認しなきゃ。
2019
05.23

ISUコミュニケーション2253&2254

ISUコミュニケーション2253リンク
ISUコミュニケーション2254リンク

2019-2020シーズンのルールが発表されました。2253が基礎点、2254がレベルやGOE要件についてです。

ISUコミュニケーション2253
基礎点の変更については、ジャンプのアンダーローテーションとeマーク判定の基礎点が変更になりました。アンダーローテーションとeマークの両方が付いたときの基礎点は据え置きですが、アンダーローテーションとeマークのどちらか片方が付いたときの基礎点は元の基礎点の75%から80%に増加しました。

テクニカルスペシャリストの岡部由起子さんいわく「回転不足判定が厳しくなったので、基礎点を上げてバランスを取った」とのことです。男子では羽生やドミトリエフが4Aに意欲を見せていますし、女子では3Aや4回転に挑む選手が激増すると予想されますから、挑戦を後押しする意味もあるのだと思います。

ISUコミュニケーション2254
レベル獲得要件や運用についてのルール変更について述べられています。

オイラーの判定が少し変わりました。2018-2019シーズンは、オイラーのアンダーローテーション判定に基礎点が設定されていましたが、2019-2020シーズンにはそれが廃止されます。半回転以上不足したオイラーはダウングレードと判定され、各ジャッジによってGOEのみで減点されます。半回転未満の回転不足の場合はテクニカルパネルによりアンダーローテーションと判定されなくなります。もしオイラーが不明確であったり、またぐようなジャンプになったら、ジャッジがマイナス評価を下します(新たなマイナス要件を設定:オイラーがまたぐように実行された -1~-2)。ステップアウトから誤魔化す、またぎオイラーはガンガン減点されるようになるはずです。

ペアスピンのレベル要件は大きく変更されます
*レベル獲得に必要な基本姿勢の数は3つから2つへ減少
*レベル獲得に必要な3つディフィカルトポジションのうち、これまでは1つだけ非基本姿勢を使ってよかったが、これからは2つまで使っていい
*上記のレベル獲得要件を超えた4つ目の基本姿勢でのディフィカルトポジションは、レベル要件から廃止された
*フライングエントランスが新たなレベル要件と認定(バックアウト or インサイドエッジからのスピン開始は廃止)
*難しい出方が新たなレベル要件と認定

これだけ思いきった変更をしたのはペアスピンが似たようなエレメンツになってしまうからでしょう。独創性を持たせる狙いがあると推察できます。新たなレベル要件の難しい出方とは、リフトやスピニングムーブメント、出を極端に難しくさせる革新的なムーブのことを指すそうです。

GOEのプラス要件に、スピン・ステップシークエンス・コレオシークエンスにおいて「独創的でオリジナリティーがある」という項目がありましたが、これが「独創的またはオリジナリティーがある」に緩和されました。また、コレオシークエンスの「氷面を十分にカバーしている」から「氷面を十分にカバーしている、またはおもしろいパターン」に緩和されました。

GOEのマイナス要件では、アンダーローテーションのマイナスが少し緩和されました。これまでは-2~-3でしたが、-1~-3に変更されました。基礎点の変更と併せて難しいジャンプに挑みやすくしているのでしょう。

ステップシークエンスとコレオシークエンスは音楽との調和と独創性を一層重視する方向に向かっています。減点が厳しくなりました。

プログラムコンポーネンツについて
プログラム中に転倒か重大なエラーを1つでも含まれる場合
スケーティングスキル、トランジション、コンポジションは最大でも9.75
パフォーマンス、インタープリテーションでは最大でも9.50とする。

プログラム中に転倒か重大なエラーが複数含まれる場合
スケーティングスキル、トランジション、コンポジションは最大でも9.25
パフォーマンス、インタープリテーションでは最大でも8.75とする。

重大なエラーとはプログラム中の中断や、プログラムの完全性・連続性・構成の流動性や音楽との関連に影響を及ぼす技術的なミスのことである。これは極端に下のレベルの選手から並はずれた選手まで同様に適用しなければならない。

GOE評価 ※追記修正
転倒、両足着氷、ステップアウトでの着氷、ロングエッジ(eマークのみ)、ダウングレード評価、リフトを下ろす際の深刻な問題、ツイストリフトのキャッチでの深刻な問題、ステップシークエンスとコレオシークエンスで音楽と調和していないものは、スタートのGOEで+2以上を付けてはならない(+2から減点項目に照らし合わせてマイナス評価をしていく)。
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意外だったのかアンダーローテーションでの減点の緩和でした。てっきりISUは女子選手に大技を避けてほしいのだと思っていました。ひょっとしたら各国連盟からの要望を受けた技術委員会の偉い人たちが、その希望を叶えたのかもしれないですね。マイナスの緩和よりもプラスを大きくした方がいいと思うんだけどなあ。すでに正しいジャンプが跳べている選手は得しないじゃないですか。

ISUはアイスダンスも含めて、フィギュアスケート競技を一層独創性・創造性・エンターテイメント性の高いものにしようと目指しているのがルール改訂から分かります。実際アイスダンスは2018-2019シーズンのルール改正が大成功したと思います。数十年前のフィギュアスケートとは別のものになっていくかもしれませんが、昔がよかったなら昔のビデオだけ観るしかないですね。

転倒や重大なエラーがあった際のPCSについてのお達しが出ました。わざわざ「極端に下のレベルの選手から並はずれた選手まで同様に適用しなければならない」と特筆しています。結局お達しを出しても、ジャッジはミスしまくったトップ選手に高いPCSを出しますし、実質順位点と化していることに業を煮やした感じですね。このお達しには大賛成です。ガッツリ引いてください。

いつもISUの会議日程をツイッターで流してくれるISUジャッジのデヴィッド・モリナさんによると、グランプリシリーズのアサイン会議は6月19日と20日にフランス・アヌシーでおこなわれるそうです。アサインが出るのは日本時間の21日の早朝~昼前ぐらいでしょうか。楽しみです。


2019
05.18

フランシス・ブードロー=オデが新ペア結成

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Well I guess it’s finally time to make it official. As some of you may know, Nadine and I decided to partner up since last December. We have kept things quiet for a while waiting to obtain both our releases. Finally got them recently and we are currently getting our clearance for Canada. Yes, we will represent Canada 🇨🇦!! Very excited to start that new journey with the lovely Miss Wang. Hope you guys cheer for us in the upcoming competitions! ✌️ ———————————————————— Certains d’entre vous le savaient déjà mais il est finalement venu le temps d’annoncer mon nouveau partenariat avec Nadine Wang. Nous avons attendu jusqu’à aujourd’hui car nous avons tout récemment reçu nos releases et sommes en processus de clearance avec le Canada. Oui oui, nous allons représenter le Canada 🇨🇦!! Très hâte de m’embarquer dans cette nouvelle aventure avec la charmante Miss Wang. En espérant que vous serez au rendez-vous pour nous supporter dans nos prochaines compétitions! ✌️ ———————————————————— みなさんおうえんよろしくおねがいします🤗 ********************************************* Also big thanks to #edeafamily and #johnwilsonblades for always providing me the best gear!! 🙏

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解散ばかりのこんな世の中じゃポイズン。そんなスケート界に舞い込んだ吉報です。日本代表として活躍したフランシス・ブードロー=オデに新たなパートナーが見つかりました。新パートナーのネイディーン・ワンは1999年2月15日生まれの20歳で、オデより5つ年下です。スペンサー・アキラ・ハウと組んで全米選手権への出場経験もあります。3Lzや3Sも跳べる選手なので、ソロジャンプには期待を持てそうです。昨年の12月にペアを結成し、それぞれの国からのリリースを待ち、カナダ代表として戦っていくことが決まりました。

オリンピックに出場する実力がありながらも、国籍問題で適いませんでした。だから新しいパートナーが見つかって母国のカナダで競技できるようになったのを嬉しく思います。日本チームに溶け込もうと努力していた優しい人柄ですし、実力のある選手ですから、たとえカナダに移籍したとしても応援する人はたくさんいると思います。あらためて日本代表になってくれてありがとうと言いたいです。

現在のカナダは史上まれに見るペア不足で、今シーズンのカナダ選手権のペア出場はたった6組でした。そのうち1組はすでに解散してしまい、さらなるペア不足も懸念されました。今回のペア結成、イリュシェチキナ&ビロドーの超大型新ペア、さらにナターシャ・ピュリッチとブライス・チュダクのペア結成で一気にシニアのペアが3組増えることになります。カナダペア復活しろーーー強くないとおもしろくないから復活しろーーー。
2019
05.14

引退・引退・引退ではない・解散?

また引退記事書き書きマシーンになります。

*ラーキン・オーストマン 引退

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Hi friends. Let’s have a chat. I’d like to officially announce my retirement from competitive skating. I don’t know how to put into words all the things I’d like to say, but I’ll try my best. As I sit here writing this, I’m watching the photo slideshow go by on my family’s computer. I kid you not, almost every picture is a skating photo, or a picture of a place I’ve only been lucky enough to go to because of skating. This sport has brought me so much joy, and yet so many more hardships. Elite sport is easy on no one, especially in this day and age of social media where we’re all hyper connected. I’ve given up many things for this sport, but I wouldn’t have it any other way. It brought me the close type of friendships that you can only have through sport, it taught me discipline, and most of all it taught me humility. The Olympics was one of those experiences where I truly learned the meaning of all these things. I sobbed with happiness and devastation while I watched my teammates live out their Olympic dreams. An experience that I believe has changed me entirely as a person and for the better. This is already getting long so good for you if you’ve made it this far lol. I won’t make a long list of people I need to thank because that’d be a whole essay. You know who you are. BUT, special shoutout to my parents who have given me everything to be successful, and my coach Zdenek who I don’t think will ever know the true impact he has made on my life. Also to @skate_canada for supporting me and believing in me so that I could achieve my dreams. I will be continuing my skating in the professional world, which is a conversation for another day. Thank you all for your continuous support in my skating, and now as I try to find how I fit into the non competitive world. (Do I still call myself an elite athlete?!?! The real questions 😂)

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リンクに咲く黄金の花、ラーキン・オーストマンが引退発表です。まだ21歳という若さなので驚きました。オリンピック出場という千載一遇のチャンスをものにしました。オリンピックではその美貌に普段スケートを観ない人たちをザワつかせていました。跳べるジャンプの種類は少なかったですし、今シーズンはカナダ選手権の表彰台や世界選手権のミニマムスコア獲得をちょっとのところで逃しました。まだまだ滑りを観ていたい選手でした。レスリング選手と恋人とラブラブで、プライベートは充実しているようです。人生の第2章も楽しんでください。

*カミラ・ヤシェム 引退

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Det er en tid for alt og nå er tiden inne for at jeg legger skøytene på hylla. Det føles som om jeg gir slipp på min første store kjærlighet. Et 17 år langt og dedikert forhold. Det gjør vondt. Kunstløp har til tider definert meg og uten tvil vært med på å forme meg. Jeg oppnådde noen av målene jeg satte meg, men ikke alle. Jeg velger likevel å se på satsningen som vellykket. Jeg har vokst opp på isen, og fått oppleve så mye på grunn av kunstløp. På veien har jeg møtt mennesker som jeg har blitt så glad i og fått erfaringer jeg kan ta med meg videre. Jeg vil takke trenere min, @beritsteigedal, alle løperne jeg har trent med gjennom tidene (blitt flere ⛸-generasjoner), og ikke minst mamma og pappa, uten dem hadde det ikke vært mulig. Og selvfølgelig, tvillingsøster, @annelinegjersem, kunstløp var et familieprosjekt på fulltid. Videre vil jeg også takke Norges Skøyteforbund, og Olympiatoppen som valgte å satse på oss i 2006, ogalle sponsorene for økonomisk støtte🙏🏼 (tagget i video) Og tusen takk til alle som har heiet, fulgt med og backet meg opp! 🥰 Det er med skrekkblandet fryd at jeg går inn i en ny hverdag og periode, men jeg er spent på å oppdage hva annet livet har å by på.

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双子のヤシェム姉妹の姉か妹か定かではないカミラ・ヤシェムが引退です。昨年、アンネリーネも引退したので、これで姉妹揃って競技の場から去ることになりました。明るくてエネルギッシュな表現が得意だったカミラ、繊細でエレガントな表現が得意としたアンネリーネ。顔がそっくりな双子でしたが、それぞれが異なる魅力を持っていました。2026年オリンピックはお隣のスウェーデンでの開催の可能性がありますし、それまでに新しい選手が出てきてほしいです。ずっとノルウェーのスケート界を引っ張ってきてくれてありがとうございました。

*アレクサンダー・ジョンソン 引退…ではない
https://adivinesport.com/2019/05/14/interview-with-alexander-johnson-2019/

全米選手権ではおなじみのアレクサンダー・ジョンソンは人生の次のチャプターに足を踏み出しました。競技から一歩引いて、フルタイムの仕事に就き、振付やコーチ業もスタートさせるとのことです。しかしながら、競技へと戻る可能性を閉ざしてはいないとも語っています。

ジョンソンは、ミネアポリスにあるLazar Middle Marketという投資銀行に勤務します。同じ業界で働くクリスティーナ・ガオや、金融業界で働くマックス・アーロンにも相談をしました。スケート界には関わり続けていたいと考えています。若いスケーターたちに振付をほどこし、来シーズンはアレクセイ・クラスノジョンのSP・LPの両方を担当します。独特な世界観を持つスケーターなので、それを若いスケーターたちに受け継いでくれるのは嬉しいです。

彼の代表的なプログラムといえば"エリナー・リグビー"です。2016年も素晴らしかったですが、2013年全米選手権での演技が忘れられません。当時非常に珍しかった3Lz-1Lo-3Fのコンビネーションを組み込み、人間の体ではないかのようにしなる四肢の美しさも相まって、別世界への誘う会心の演技を魅せてくれました。アメリカ男子は選曲が非常に保守的ですが、ジョンソンは常に攻めた個性的な作品で魅了してくれました。トム・ディクソン振付といえばジョンソン!というほどにハマっていました。このコンビが見られなくなるのも寂しいです。次はジョンソンが、個性的なスケーターを育てていく番です。会社員としての業務も大変だとは思いますが、またその姿を見せてほしいです。師・ディクソンのように永遠に老けず、ずっとかっこよくいてください。

*エリザヴェータ・フダイベルディエワニキータ・ナザロフ 解散?
https://sport24.ru/news/other/2019-05-13-lyubov-zhivet-tri-goda-spasibo-za-vse-chto-ty-sdelal-dlya-menya-duet-khudayberdiyevanazarov

クエスチョンマークを付けたのは、女性がインスタグラムの投稿を消してしまったからです。今シーズンの世界ジュニア選手権でロシア勢トップの成績を残し、確かなスケーティングスキルを持っている上にロシアカップルだというのにオシャレなプログラムを滑る期待大の若手でした。マジで解散?やだああああああ……五月病ってことにしてもう1回やりません?これはもったいないぜ。

もう夏がやってくるし、そろそろ引退ラッシュ終わりにしませんか?朝起きて確認する度にビクンッ!とします。
2019
05.04

解散・引退・引退

春なのにお別れです。シーズン終了後の日課はパートナーサーチのチェックです。サイレント解散した選手が掲載されていることがありますから。

*アニカ・ホッケルーベン・ブロマールト 解散

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Nach dieser Saison, die mit Krankheit und Verletzungen bereits sehr schwer begann mussten wir leider zu dem Schluss kommen, dass Annikas und meine gemeinsame sportliche Karriere keine Zukunft hat. Ich bin traurig euch dies mitzuteilen, doch ich respektiere ihre Entscheidung und wünsche ihr weiterhin alles Gute. Zurückblickend haben wir in dieser kurzen Zeit viel gelernt und sind in unsere erste Saison sehr erfolgreich gestartet. Die Belohnung für unser hartes Training war die Teilnahme bei den Olympischen Spielen in Pyeongchang mit welcher mein größter Traum in Erfüllung ging! Nach dem schwierigen Start in die vergangene Saison fanden wir nun aber keine Trainingsroutine. Folglich waren die Ergebnisse im Wettkampf auch schlechter als erhofft. Trotzdem hatten wir meiner Meinung nach einen guten Abschluss in Japan und ich bin stolz darauf, was wir gemeinsam erreicht haben. In den kommenden 6 Wochen werde ich erstmal meinen Lehrgang bei der Bundeswehr absolvieren und bin weiterhin gespannt welche Möglichkeiten sich in meiner sportlichen Karriere noch ergeben werden. Nun möchte ich mich noch ganz herzlich bei allen bedanken, die uns in diesen zwei ereignisreichen Jahren unterstützt haben!

Ruben Blommaertさん(@rubenblommaert)がシェアした投稿 -

ドイツペアのホッケ&ブロマールトが解散となりました。今シーズンは怪我や病気で満足なシーズンを送れないながらも、世界選手権には出場ができました。これからハセジーと切磋琢磨してドイツペアを牽引してくれると思っていただけに残念です。2人とも現役続行の意思はあるようなので、いいパートナーが見つけてほしいです。サフ子がおめでたなので、来シーズンも競技に出ないことは確定的ですから、ドイツペアはハセジー1組で踏ん張ることになるのですね。

*カリーナ・マンタジョセフ・ジョンソン 引退
https://circusrunaway.blog/2019/04/19/saying-goodbye/

アメリカのマンタ&ジョンソンは引退を発表しました。引退後は2人揃ってシルク・ドゥ・ソレイユに参加するそうです。マンタはバイセクシャルをカミングアウトしていました。現役の女子スケーターが自身のセクシャリティを公にするのは極めて異例のことでした。男性はゲイをカミングアウトしていますし、アイデンティティに悩む若いスケーターたちのいいロールモデルになったのではないかと思います。今シーズン全米選手権で披露したFD"Sweet Dreams"は名演でした。この演技は生涯忘れることはないと思います。セカンドキャリアを楽しんでもらいたいです。

*ティモシー・ドレンスキー 引退
http://timdolensky.figureskatersonline.com/2019/04/17/stepping-away/

鋼の筋肉をまとう逆三角形コンポーザーことティム・ドレンスキーも引退を発表しました。全米選手権の表彰台まであと一歩というところにいましたが、メダルに手が届くことはありませんでした。彼は年齢制限ギリギリまでジュニアに残ったスケーターで、シニアに上がってからも3A習得に苦労していました。20歳を過ぎて3Aをものにして、狂ったように回転速度の速いスピンとともに、幅と高さのあるジャンプで楽しませてくれました。すでにクルーズ船に乗ってショースケーターとして活動しています。

アーロン、るっぽんぽん、ホックスタインがリンクを去り、マイナーさんはコーチに転身し、アレクサンダー・ジョンソンは引退したのかしていないのかよく分からないけど振付をしていていますし、たった1年の間にアメリカ男子のベテラン勢がゴッソリ抜けてしまいました。抜けすぎ……寂しい……。

そしてドレンスキーが参加中のアイスショーにアンジェラ・ワンも参加しているようです。彼女はインターナショナルセレクションプールに名前がありませんでした。引退してしまうのかなあ。

人生の新たな一歩を踏み出すすべてのスケーターたちに幸あれ。
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