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2021
01.31

アナスタシア・シュピレワヤ 引退

https://matchtv.ru/figure-skating/matchtvnews_NI1305694_Koronavirus_slomal_jej_karjeru_no_ne_kharakter_Iskrennij_monolog_Anastasii_Shpilevoj_i_jeje_novaja_zhizn_v_figurnom_katanii

アナスタシア・シュピレワヤの引退が正式に発表されました。引退の原因はCOVID-19の後遺症です。ジュニアのトップクラスで戦い、世界的にもよく知られた選手の中から、病気に競技生命を絶たれる選手が出てきてしまいました。

以下ちょっと重い話の要約。

昨シーズンのオフに新しい環境に身を投じるべくコーチを変更したものの、ロックダウンのために練習ができなくなりました。自宅待機が解除されて練習を開始してわずか1週間でCOVID-19に感染しました。最初は自宅で治療を受けていましたが、熱が2か月続きました。抗生物質を服用しても改善せず、腎臓に痛みが出ました。息切れでベッドから起き上がり、トイレで喘いでいました。近くの病院で治療を受け、血液をきれいにしてもらいました。合併症は全身に及んでおり、強い吐き気やめまいがありました。退院しても熱が下がらず、再び自宅隔離されることになりました。練習を再開後の翌朝、足が痛くて立っていられないほどになりました。COVID-19の合併症により反応性関節炎になり、さらに3週間自宅にいることになりました。スケートを始めて1週間後に足が痛くなり、さらに両足が痛くなり、痛み止めを飲みました。薬には中毒性があるし、治療にはならないので服薬は症状を悪化させるだけでした。再診を受けたところ、両足の中足骨の骨折が見つかりました。病気後には関節が弱くなっていて、いつもの半分ぐらいの負荷でも、骨が耐えられなくなっていたようです。

当初はキャリアを終えようとは考えていなかったけれど、パートナーからメールが届きました。彼は未知の世界に疲れていて、新しいパートナーを探しているというものでした。いつ元気になるかも分からない私を待つのに疲れていると。私にとっては大きな痛手で、氷の上に立てないことを悟ってしまいました。鬱、無気力、それだけでした。世の中の状況を考えると、どうやってパートナーを探せばいいのか分かりませんでした。経験者と一緒になるために他人を巻き添えにするのは醜いことだし、未経験者を探すのは難しい。グリーシャ(グリゴリー・スミルノフ)とは10年間(※本当は8年ぐらい)一緒に滑ってきたから、隣に誰もいないのは想像もつかなかった。

私たちはタランテラやクイックステップのような速いテンポのプログラムが得意でした。身長差も最適で、私は彼をいつも信頼していて、相性もよかったんです。長い間正気を取り戻そうとしていました。私は自分の悩みを話すタイプではなくて、親しい人に対しては特にそう。だから自分を内側から食いつぶしてしまっていたんです。親が助けてくれて、母と一緒にベラルーシにいる叔母に会いに行った。そこで心理学者にも会いました。最初は自分のキャリアの終わりを認めることはできていなかったけど、心理学者の助けもあり、「遅かれ早かれ、いずれフィギュアスケートは自分の人生から去っていくのだ」ということを理解できるようになりました。ベラルーシへの旅で、フェンスの向こう側に立ちたいと思うようになりました。今は自分の専門分野の高等教育を受けています。

今は4歳から6歳の子供たちに教えています。私の仕事は、彼らにスケートのやり方を教え、フィギュアスケートへの愛を植え付けることです。将来はアイスダンスではなく、シングルのコーチになろうと考えています。ジャンプに関しては専門のコーチを雇うけど、それはまだ遠い先の話です。

コーチやパートナーには感謝の気持ちを伝えました。ファンにも感謝を伝えたいです。まだ引退を発表していない時期でも、多くの人が「元気にしていますか?」と手紙を書いてくれました。そのとき対応はできなかったけれど、とても感謝しています。アスリートにとって、ファンの応援がどれだけ大切なことか。人がお互いに優しくするのはとても大切なことです。相手が何を考えているかなんて、その瞬間には誰にも分かりません。不注意で辛辣な言葉は、相手に致命的に大きな傷を与えることになります。これはフィギュアスケートだけでなく、人生全般の話です。


COVID-19の感染で、まだ21歳の若い選手のキャリアが絶たれてしまいました。若くて健康だからといって大丈夫なわけではありません。彼女の壮絶な闘病と葛藤を見て、改めて自分も気をつけなければならないと思いました。

優雅さとアクロバティックさが融合した"シェルブールの雨傘"でユースオリンピックを制し、世界的にも名前を知られるようになりました。2017-2018シーズンはシュピスミ2人ともが怪我をしてしまい、シーズンを棒に振りましたが、2018-2019シーズンにシニアに上がっても、彼らの独創性は健在でした。FD"Thunder"では曲芸リフトを次々に繰り出していました。2019-2020シーズンは、日本のメディアがWikipediaを見て書いた「アイスダンスのリフトは肩より上に上げていはいけない」という15年近く前のルールを、RD"グリース"の重量挙げリフトで即行否定してくれました。本当にありがたい事例でした。ミスがあってロシア選手権の成績こそ振るいませんでしたが、シニアでも光る個性があり、4番手争いに絡めるだけの力は着実に積み上げていました。これからの活躍が期待されるカップルでした。

21歳での引退は残念なことですが、鬱状態から立ち直った彼女のことを応援したいです。たくさんの素敵なプログラムをどうもありがとうございました。最後にインタビュー中で一番印象に残った彼女の言葉を。

優勝したユースオリンピックを決して忘れない。休日がやってきたかのような、試合とは思えないような雰囲気でした。すべてが便利で、選手のために考え抜かれていて、笑顔でスケートに行けるんです。シニアのオリンピックには行けなかったけれど、コーチとして行ってみたいと思います。
2021
01.19

吉田唄菜&西山真瑚 解散

吉田唄菜西山真瑚のパートナーシップ解消が発表されました。昨日これを観たときに衝撃を受け、ブログで言及せずに朝まで寝かせてしまいました。

2019-2020シーズンは、ジュニアグランプリにはじまり、全日本ジュニア選手権、ユース五輪、世界ジュニア選手権と大活躍を見せました。FDのドン・キホーテは彼らにピッタリだったし、「こういう演技が観たかった」というダンスファンの欲望を満たすものを演じてくれました。今シーズンは演技を目にする機会は少なかったですが、日本のアイスダンスを牽引するカップルに成長してくれるものと思っていました。

カップル競技というものは、傍から見てうまくいっていても、方向性の違いで解散するのはよくあることです。そればかりはファンにはどうしようもありません。2人ともアイスダンスを続けて行く意思はあるようなので、新しいパートナーとの活躍を楽しみにしています。本音を言うとすっっっっっっっっごいうショックですが、素敵な演技をありがとうございました。そして、新たなダンスファンをたくさん作ってくれてありがとうございました。
2020
12.13

タラ・ケイン&ダニー・オシェイ 解散

https://usfigureskatingfanzone.com/news/2020/12/10/figure-skating-tarah-kayne-and-danny-o-shea-end-partnership.aspx

タラ・ケインダニー・オシェイの解散が発表されました。2週間ほど前にダニー・オシェイの引退情報が流れていましたが、いい加減なものでしたね。本人やコーチのコメントがなかったり、連盟からの発表でないものはスルーするようにしているので騙されなくてよかった。

新シーズンを戦い初めて、全米選手権を1か月前にしての解散発表なので、自分たちの現状に思うところがあったのだと思います。全盛期の彼らのポテンシャルから考えると、今は力を発揮できているとは言えない状況ですからね。オリンピックに向けて、前向きに解散したと思いたいです。2人とも現役は続けていくそうなので、新しいパートナーが見つかって、元気な姿を見せてもらいたいです。

バレエのプログラムを滑らせればピカ一で、クラシカルな"これぞフィギュアスケート"という作品を見せてくれるペアでした。ダンスリフトからのスロージャンプや、メガネコーチ謹製の全米フライングスタオベリフトフィニッシュでも楽しませてくれました。ケインは昌磨とおふざけでペア結成したり、大輔さん復帰の際にタラダニ2人で「NHK杯出ればいいのにー」とファンガールごっこしたり、陽気で明るいキャラクターも魅力的です。怪我と戦いながら必死に競技を続けてきたペアでもあります。彼らのペア競技での更なる活躍を願ってやみません。

ケインは、ケイト・フィンスターとのパートナーシップを解消したばかりのバラージュ・ナジとラブいっぽいのですが、ここでペア結成なんてことあるのかもしれません。
2020
11.14

ショーン・ラビット 引退

ショーン・ラビットが引退を発表しました。全米選手権のキスクラでは、いつも日本人のファンへ向けてメッセージを送ってくれていた選手です。引退後はコーチを続けたり、アイスショーや日本でも活動したいと語っています。COVID-19が収まったらまた来日してほしいですね。全米選手権のシニアクラスには9度出場し、30歳まで現役を続けました。これはなかなかできることではありません。全米の名物選手がいなくなってしまうのは本当に寂しいです。

ベストパフォーマンスは、転倒こそありましたが2017年全米選手権のLPですかね。心の底から楽しみながらマンボを滑る姿に心躍らされました。エデンの東のようにしっとりとした曲も得意ですが、ニコニコしながら音楽を感じて滑るウサギさんが好きでしたよ。またお会いしましょう。

こうしてフィギュアスケート界のウサギ枠はダリア・ウサチョワさんに継承されるのであった。
2020
09.30

ヴァネッサ・ジェームス&モルガン・シプレ 引退

https://www.ffsg.org/Fin-de-carriere-pour-Vanessa-James-et-Morgan-Cipres

フランス氷上競技連盟より、ヴァネッサ・ジェームスモルガン・シプレの引退が発表されました。2019-2020シーズンの休養発表後、スケートファンを震撼させるニュースが舞い込み、そのまま競技復帰することなく現役を終えることになりました。例の件はまだ捜査中だと思うので、最終的な内容が分かってから触れようと思います。非常にデリケートな話ですし、憶測だけで語って、人の尊厳を傷つけることはしたくありません。

ヴァネッサ・ジェームスは、バンクーバーオリンピックを終えてからペアを解消し、シングル選手だったモルガン・シプレとペアを結成しました。ペア結成してからすぐに試合に出ることはなく、1シーズン置いてから試合に出場するようになりました。結成当時はシプレの線が細く、ヴァネッサを支えるだけの力はありませんでした。試合に出始めたばかりの頃はリフトを失敗しまくっていた覚えがありますし、2014-2015シーズンまでは、2014年世界選手権の落下フィニッシュを含めて、大きなミスをするイメージが強かったです。2013-2014シーズンから改善の兆候が見られ、バッキバキに体を作ってきた2015-2016シーズンあたりからは、シプレと経験豊富なヴァネッサとの間にあった歴然とした技術差が埋まってきました。リフトやツイストリフトでの大惨事も減少しましたね。

2016-2017シーズンからジョン・ジマーマンの指導を受けるようになり、ついにシプレの技術がヴァネッサに追いつきました。プログラムの工夫が増え、スケーティングスキルの飛躍的な向上により、すべてのエレメンツの質が世界のトップクラスに大きく近づきました。2017年ヨーロッパ選手権の銅メダル、2017年国別対抗戦でのスタンディングオベーション(日本でペアファン大量捕獲)、オリンピック大健闘の5位入賞に、2018年世界選手権では自身初となる表彰台。躓いてしまった大会もあったけれど、世界のトップ10にもかすりそうになかったレベルのペアが、上り詰める過程を見せてもらいました。

2018-2019シーズンはグランプリシリーズ初制覇に始まり、ヴァネッサの生まれたカナダでのグランプリファイナルでフランスペア初の優勝、ヨーロッパ選手権ではフランスペアとして87年ぶりの優勝を飾りました。ヴァネッサがSPのウォームアップ中にマッテオ・グアリーゼと衝突したこともあり、世界選手権制覇こそ逃しましたが、国別対抗戦で名誉挽回し、素晴らしいシーズンを送りました。ことスケーティングに関しては鬼神のごとくこだわるチャーリー・ホワイトの振付で滑ったこともあり、滑りがムーブメントとエレメンツと融合し、それまでとはひと味もふた味も違う上質な作品を見せてくれました。タイムバイオレーション取られてたこともかすむぐらい良かったです。

おフランスらしく衣装が素敵で、僕の一番のお気に入りは2013-2014シーズンのLP"天使と悪魔"で着用したものです。翌シーズンも同じプログラムを滑りましたが、衣装を替えたので2013-2014シーズンのものが好きなんです。ビッチリ石が敷き詰められていてたまらんのですよ。白黒衣装を着るのであればこれぐらいこだわらなくてはいけません。ロシア人ダンサーよ聞いていますか?2016-2017シーズンSP"Earned it"のシプレの衣装の胸部分にあったテープだけは、最後まで存在意義が分からなかった。そういった疑問を残していくところもいいですね。ツッコミどころが多いのは素晴らしいことです。まあ、ヴァネッサが美人で長身でプロポーション抜群だから何色選んでもパンツスタイルでも似合っちゃうんですけどね。

お互いシングルで競技していたこともあり、ソロジャンプが得意なペアでもありました。特に3Sの質は群を抜いていたと思います。ジャンプに入ってくるスピードがありましたし、シングルでも+3ぐらいはもらえそうな高さのあるジャンプでした。これを長身の2人が観客席の真ん前、ロングバリアの中心で跳ぶわけですから迫力あるに決まっています。ヴァネシプの3Sを超えるのは難しいだろうなあ。男子ができても女子が無理だもの。

引退にあたって、2011年エリック・ボンパール杯の演技と2018-2019シーズンの演技を続けて観てみましたが、移動距離から何から違いすぎて笑えてきます。本当に上手になりました。2022年にモンペリエでの世界選手権で有終の美を飾って引退してほしかった。このような形でキャリアが終わってしまうのは残念です。

ヴァネッサはスポーツやリハビリに関連した製品の開発をしたり、慈善活動にも取り組んでいるそうです。カナダではBattle of Bladesに参加し、プロスケーターとしても活動しています。シプレは不動産業界に入る予定で、ペアを教える仕事も考えているそうです。現役生活お疲れさまでした。
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