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2020
09.30

ヴァネッサ・ジェームス&モルガン・シプレ 引退

https://www.ffsg.org/Fin-de-carriere-pour-Vanessa-James-et-Morgan-Cipres

フランス氷上競技連盟より、ヴァネッサ・ジェームスモルガン・シプレの引退が発表されました。2019-2020シーズンの休養発表後、スケートファンを震撼させるニュースが舞い込み、そのまま競技復帰することなく現役を終えることになりました。例の件はまだ捜査中だと思うので、最終的な内容が分かってから触れようと思います。非常にデリケートな話ですし、憶測だけで語って、人の尊厳を傷つけることはしたくありません。

ヴァネッサ・ジェームスは、バンクーバーオリンピックを終えてからペアを解消し、シングル選手だったモルガン・シプレとペアを結成しました。ペア結成してからすぐに試合に出ることはなく、1シーズン置いてから試合に出場するようになりました。結成当時はシプレの線が細く、ヴァネッサを支えるだけの力はありませんでした。試合に出始めたばかりの頃はリフトを失敗しまくっていた覚えがありますし、2014-2015シーズンまでは、2014年世界選手権の落下フィニッシュを含めて、大きなミスをするイメージが強かったです。2013-2014シーズンから改善の兆候が見られ、バッキバキに体を作ってきた2015-2016シーズンあたりからは、シプレと経験豊富なヴァネッサとの間にあった歴然とした技術差が埋まってきました。リフトやツイストリフトでの大惨事も減少しましたね。

2016-2017シーズンからジョン・ジマーマンの指導を受けるようになり、ついにシプレの技術がヴァネッサに追いつきました。プログラムの工夫が増え、スケーティングスキルの飛躍的な向上により、すべてのエレメンツの質が世界のトップクラスに大きく近づきました。2017年ヨーロッパ選手権の銅メダル、2017年国別対抗戦でのスタンディングオベーション(日本でペアファン大量捕獲)、オリンピック大健闘の5位入賞に、2018年世界選手権では自身初となる表彰台。躓いてしまった大会もあったけれど、世界のトップ10にもかすりそうになかったレベルのペアが、上り詰める過程を見せてもらいました。

2018-2019シーズンはグランプリシリーズ初制覇に始まり、ヴァネッサの生まれたカナダでのグランプリファイナルでフランスペア初の優勝、ヨーロッパ選手権ではフランスペアとして87年ぶりの優勝を飾りました。ヴァネッサがSPのウォームアップ中にマッテオ・グアリーゼと衝突したこともあり、世界選手権制覇こそ逃しましたが、国別対抗戦で名誉挽回し、素晴らしいシーズンを送りました。ことスケーティングに関しては鬼神のごとくこだわるチャーリー・ホワイトの振付で滑ったこともあり、滑りがムーブメントとエレメンツと融合し、それまでとはひと味もふた味も違う上質な作品を見せてくれました。タイムバイオレーション取られてたこともかすむぐらい良かったです。

おフランスらしく衣装が素敵で、僕の一番のお気に入りは2013-2014シーズンのLP"天使と悪魔"で着用したものです。翌シーズンも同じプログラムを滑りましたが、衣装を替えたので2013-2014シーズンのものが好きなんです。ビッチリ石が敷き詰められていてたまらんのですよ。白黒衣装を着るのであればこれぐらいこだわらなくてはいけません。ロシア人ダンサーよ聞いていますか?2016-2017シーズンSP"Earned it"のシプレの衣装の胸部分にあったテープだけは、最後まで存在意義が分からなかった。そういった疑問を残していくところもいいですね。ツッコミどころが多いのは素晴らしいことです。まあ、ヴァネッサが美人で長身でプロポーション抜群だから何色選んでもパンツスタイルでも似合っちゃうんですけどね。

お互いシングルで競技していたこともあり、ソロジャンプが得意なペアでもありました。特に3Sの質は群を抜いていたと思います。ジャンプに入ってくるスピードがありましたし、シングルでも+3ぐらいはもらえそうな高さのあるジャンプでした。これを長身の2人が観客席の真ん前、ロングバリアの中心で跳ぶわけですから迫力あるに決まっています。ヴァネシプの3Sを超えるのは難しいだろうなあ。男子ができても女子が無理だもの。

引退にあたって、2011年エリック・ボンパール杯の演技と2018-2019シーズンの演技を続けて観てみましたが、移動距離から何から違いすぎて笑えてきます。本当に上手になりました。2022年にモンペリエでの世界選手権で有終の美を飾って引退してほしかった。このような形でキャリアが終わってしまうのは残念です。

ヴァネッサはスポーツやリハビリに関連した製品の開発をしたり、慈善活動にも取り組んでいるそうです。カナダではBattle of Bladesに参加し、プロスケーターとしても活動しています。シプレは不動産業界に入る予定で、ペアを教える仕事も考えているそうです。現役生活お疲れさまでした。
2020
09.23

エレーナ・ラジオノワ 引退

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Сейчас я наконец готова сказать то, что так долго не решалась. Возможно, для кого-то это будет не новость, но все-таки хочу сказать об этом официально! Я заканчиваю свою спортивную карьеру. Пришло время, когда нужно открывать новую страницу в жизни. ⠀ Хочу выразить огромную благодарность моим болельщикам и людям, которые меня поддерживали. Также сказать СПАСИБО моим тренерам, хореографам и людям, которые со мной работали! Спасибо за то, что сделали меня! Без Вас я бы не добилась таких результатов! Спасибо моим родителям, которые поддерживали и верили в меня! ⠀ Всем-всем огромнейшее спасибо!!! ⠀ Фигурное катание навсегда останется в моем сердце. Это то, чем я жила. Оно научило меня справляться с трудностями, подарило мне силу воли, захватывающие эмоции и бесценный опыт. Я скучаю по всей нашей большой фигурно-катательной семье! Это было нереально крутое время, которое я буду вспоминать только с любовью и трепетом. ⠀ Наконец пришло время идти дальше, покорять новые высоты, которые будут не менее интересны! Обещаю не отдаляться от фигурного катания. Теперь я буду представать в новых для меня амплуа. Я очень хочу поделиться своим богатым опытом с молодым поколением. ⠀ Я открываю для себя новую главу жизни, которая будет не менее увлекательной и интересной. Я вас очень люблю. Ваша Елена Радионова❤️💃🏼 ⠀

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エレーナ・ラジオノワが正式に引退を発表しました。最後に試合に出場してから、3年の月日が経とうとしています。彼女も「どなたかにはニュースにはならないかもしれませんが」と前置きした上で、ファンやコーチ、振付師、家族に対してお礼を述べています。

今ではロシアの新ご意見番となり、チームの移籍等があるとよくコメントを求められています。だからか、試合に出ていなくても彼女が遠くに感じることはそれほどありませんでした。現在は21歳ですが、彼女が最後に競技に近い形でSP・LPの演技をしたのが2018-2019シーズンのテストスケートでしたから、実質19歳で競技をやめてしまったことになります。

世界ジュニア選手権で女子シングル初の連覇を飾った選手です。浅田真央でもユナ・キムでもユリア・リプニツカヤでも成し遂げられなかった偉業です。ジュニア時代から豊かも豊かなオーバーな表情と手首がもげそうなくらい動かす独特なマイムで観客を楽しませてくれました。

3Lz-3Tを失敗しそうで失敗しない選手でした。仮に失敗しても2本目の3Lzに付けてリカバリーするだけの力を持っていました。2015年世界選手権では表彰台に立ちましたし、無敵状態になりかけていたエフゲーニャ・メドベージェワに2015年ロステレコム杯で土をつけるなどして、最強ロシアの一角を担いました。しかしながら、難しい時期に入ってしまったこともあり、得点源だった3Lz-3Tの加点が減り、成功率も下がっていきました。華やかな舞台の裏では体のコントロールにどれだけ苦労しているのか、いつも気がかりでした。誕生日が半年早ければソチオリンピックに出場できていたかもしれません。あるいはもっと遅ければピョンチャンオリンピックに出られていたかもしれません。生まれた年が前後するだけで、人生が左右されてしまうのがロシアなのです。

1つのプログラムに何着か衣装を用意するのが定番で、自分でもデザインをしていました。表現と同様に嗜好が派手なところも大変よかったと思います。特にエキシビションで滑った"イマジン"の衣装には度肝を抜かれました。皆が一度は思ったでしょう。どうやって持ってきたんだと。ボーカル解禁後は積極的にボーカル入りの楽曲を使用しました。2015-2016シーズンは、SP"Je t'aime"、LP"タイタニック"という最強騒音コンボを繰り出してくれました。当時はうるせえなあと思っていたけれど、インパクトないよりはあれぐらいで良かったし、ラジオノワの濃い表現はボーカル負けしていなかったですね。エテリ軍の兵士たちも、ララ・ファビアン滑るならラジオノワぐらい濃い表現しなきゃダメですよ。"タイタニック"はセリフまで入っていましたね。エレーナ・イリニフ&ニキータ・カツァラポフの"ゴースト"と肩を並べて、今でも愛され続けている二大うるせえセリフ入りプロと言っていいでしょう。2016-2017シーズンの"トゥーランドット"の女性ボーカルもうるさかったなあ。偉大だなあ。

半引退状態で、このままフェードアウトしても誰も何も言わないのに、こうして律儀にお礼を述べるところに彼女の性格の良さが見て取られます。彼女のこれからの人生が光に満ちることを願ってやみません。現役生活お疲れさまでした。
2020
09.17

テストスケートの感想

土日は半年ぶりにフィギュアスケートを観る喜びに浸るために感想書かずに演技に没頭していました。なのでこんなタイミング。1つずつやると10時間ぐらいかかりそうなので、ざっと書いてみます。

アイスダンス
アレクサンドラ・ステパノワ&イワン・ブキンはステパノワの腰の怪我で欠場となりました。ドイツ・ミュンヘンに渡って注射を打ってもらい、ロシアに帰国したとのことです。ヴィクトリア・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフは、カツラさんの腰の怪我で欠席となりました。

ティファニー・ザゴルスキー&ジョナサン・ゲレイロ(Sr.3rd) RD FD
アナベル・モロゾフ&アンドレイ・バギン(Sr.4th) RD FD
アナスタシア・スコプツォワ&キリル・アリョーシン(Sr.5th) RD FD
ソフィア・シェフチェンコ&イゴール・エレメンコ(Sr.6th) RD FD
エリザヴェータ・フダイベルディエワ&エゴール・バジン(NEW) RD FD

アイスダンス勢はほとんどがプログラムを持ち越しました。赤ゲレは女性がオフ中にCOVID-19に感染しましたが、特にこれまでと変わらずに元気に演技していました。男性の方が元気ないぐらいですし。モロバギは男女の技術に明確に差がありまして、男性がたくさん移動することで女性への注目を反らす戦略を取っています。これがイリカツ戦法です。さすがモロゾフですね。エレメンツは様になっていました。スコアレは今シーズンも無事に競技を続けてくれました。男女の身長差はほとんどありませんが、昨シーズンよりもスピードがあって質の高い滑りを見せるようになったと思います。チェンコメンコは個性的なエレメンツを披露はするのですが、全体的にこじんまりとしていまひとつ曲と調和していない印象を受けます。プログラムに流れがなくて演じたいことが伝わってきません。シニアの壁にめちゃくちゃ阻まれています。フダバジは新結成のカップルとしてはとても良かったです。彼らが上位に進出するには男性の体力次第です。頼むから1シーズンで解散しないでください。それだけ言っときますからね?もう言うたよ?分かった?

男子シングル
ドミトリー・アリエフが腰の怪我で欠席しました。ステパノワと同じところで治療を受けた模様です。アルトゥール・ダニエリャンは足首の怪我で欠席しました。

アレクサンドル・サマリン(Sr.3rd) SP LP
マカール・イグナトフ(Sr.4th) SP LP
アンドレイ・モザリョフ(Sr.5th) SP LP
ピョートル・グメンニク(Sr.7th) SP LP
ロマン・サヴォシン SP LP
ミハイル・コリヤダ SP LP

サマリンは4Lzでの出オチを防ぐためか、SP冒頭のジャンプを4Loに変更しました。成功できるといいですね。SPのポーリシュカポーレは男らしくて彼に合っていました。多少ジャンプの助走が長くてもこの曲であれば気にならないです。LPではノルマの厨二衣装を着てくれました。前半は助走しかしていないのでジャンプ成功させてください。イグナトフも冒頭のジャンプは4Loです。SPでは成功させました。ジャンプを失敗するとハンパなく体力を削られるので、表現もへったくれもない演技になってしまうのだけは改善できないものか。厳しいジャッジなら6点台前半を出されると思います。モザリョフは4F含めて素晴らしい仕上がりでした。やや体の動かし方が中途半端な気もしますが、ようやくシニアフル参戦ですからこれからですね。LPでは新たな変なメドレーを披露してくれました。こういうの好きなのかな。グメンニクは一段と体が大きくなりました。LPのオペラ座の怪人は、昨シーズンとは曲の構成が変わってボーカルがうるさくなりました。最後の血走った眼フィニッシュは同じでした。急激に身長が伸びると感覚を慣らすのは大変ですし、じっくり見守ることとします。多摩川に現れたアザラシのように優しく見守りましょう。サヴォシンはジャンプの助走が長いのにジャンプが決まりません。同じ長い助走族のサマリンよりも演技のスケールが小さいので、何かしらの武器を身に付けないとシニアで戦うのは難しそうです。コリヤダが帰ってきて、SPもLPでもクワド1本ではありますが安定した滑りを見せました。ミーシンチームあるあるのトランジションの少ないプログラムにはなっていますが、スケーティングが良いというだけで十分間が持ちます。トランジションは入れりゃいいってものではありません。間を生かしてこそのトランジションです。それがコリヤダにはできているんですね。今回のコリヤダの滑りは本調子ではありません。本来のコリヤダはもっと氷に吸い付くような滑りをします。だからもっともっともっと良くなります。結婚して顔つきも男らしくなり、ますます素敵になりました。今シーズンのコリヤダが楽しみです。

ペア
エフゲーニャ・タラソワ&ウラジミール・モロゾフは欠席となりました。練習拠点がアメリカですからね。ところで、モロゾフはCOVID-19に感染してしまいました。発熱や咳などの症状があったようです。この影響で国内戦も欠場しますが、スケートアメリカとロシアカップの後半戦には出場を目指しているとのことです。アポリナリア・パンフィロワ&ドミトリー・リロフは、リロフの嚢胞除去手術のために欠席となりました。

アレクサンドラ・ボイコワ&ドミトリー・コズロフスキー(Sr.1st) SP LP
ダリア・パブリュチェンコ&デニス・ホディキン(Sr.3rd) SP LP
アナスタシア・ミーシナアレクサンドル・ガリャモフ(Sr.4th) SP LP
アリーナ・ペペレワ&ロマン・プレシュコフ(Sr.5th) SP LP
ヤスミナ・カディロワ&イワン・バルチェンコ(Russian Cup Final 2nd) SP LP

安定のボイコズ、躍進のミシガリ。そういった印象でした。SPはロシアの歴史ドラマの曲を使用したようです。男性が王子様で女性がお姫様なんですね。男性の肩にキラキラの飾り付けてほしいけど、女性がリフトで肩に触るから無理ですね。だから胸に勲章付けてほしい。ステップの同調性が上がればさらに素敵になりそう。LPはクソ編曲の007をそのまま使っていますが、改めて素晴らしい完成度でした。スローの飛距離すげえ。ダリデニはリフトの質にバラつきがあります。股の下を通して降ろすリフトはそろそろ難しくなってきたのかもしれません。全カテゴリーで最も印象に残ったのはミシガリでした。ダントツ1位です。リフトの上げ下ろしで力を使っていたところを上手く前後の振付でカバーできるようになっているんですよね。これだけでGOE1とか2とか変わってきます。無表情だった表情が豊かになり、小手先だった腕の振付も動かす範囲が大幅に増えました。世界選手権の表彰台争いをできるレベルに到達したと言えます。ペペプレはSPもLPもボイコズやミシガリの後ろの滑走順だったので、正確な判断がしにくいです。どうしても小さく見えてしまいますから。ロシアカップファイナルに出場していた謎のペアは2004年生まれと1999年生まれらしいです。謎だけど3-1-3を跳んでいました。謎のペアだけど普通に他国の代表レベルなんだよなあ。ロシアは女子シングルの層の厚さばかりに注目が集まるけど、ペアの方がすごいぞ。

女子シングル
アリーナ・ザギトワが欠席。アレクセイ・ヤグディンと一緒にテレビ番組の司会をするので、競技に戻ってくるかどうかも不透明です。でもそれも彼女の選択です。別に悪いことをしているわけではないのです。クセニア・シニツィナは怪我をしていようで、ロシアカップを欠場します。

アンナ・シェルバコワ(Sr.1st) SP LP
アリョーナ・コストルナヤ(Sr.2nd) SP
アレクサンドラ・トゥルソワ(Sr.3rd) SP LP
エリザヴェータ・トゥクタミシェワ(Sr.4th) SP LP
ソフィア・サモドゥロワ(Sr.5th) SP
カミラ・ワリエワ(Jr.1st) SP LP
エフゲーニャ・メドベージェワ SP LP

女子シングルだけは前年の国内選手権メダリストが揃い踏みでした。メドベージェワがこの2日後にエテリ軍への復帰を果たすので、エテリ軍・プルシェンコ軍・ミーシン軍だけのテストスケートでした。シェルバコワはジャンプが上がらなくなってきたように見えますが、表現は一段と大人っぽく、深みを増しています。シェルバコワは25歳ぐらいまで続けてくれないかなあ。曲はいつものグレイヘンガウスっぽいやつでした。コストルナヤは冒頭の2Aこそ良かったですが、あとはジャンプが上がらず、曲と滑りがまったく揃っていないし、彼女の10%程度の魅力しか出せていなかったです。そもそもビリー・アイリッシュのボソボソズンドコ曲はフィギュアスケートとの相性が悪いので、どうしてこれを使おうと思ったのか理解に苦しみます。北京オリンピックで引退するのであれば、好きな曲を使って気持ち良く競技から去るのもありですけどね。ベタな選曲でも彼女ならではのカラーを出す方法はいくらでもあるでしょうに。LPは練習不足で欠席でした。ここからどれだけ上げられるか。トゥルソワはSPでセクシー審判員みたいな練習着で滑っていました。体がよく締まっているけれど、健康的な細さでした。女子シングルで一番調子が良さそうなのはトゥルソワですね。LP冒頭の4Lzこそ転倒しましたが、4Tは1本コンボで成功、2本目は片手をつきました。昨シーズンは演技前半が助走一辺倒でしたが、今でも助走は多いもののトランジションの振付や表情に意図を込めて演技するように心がけられていると思います。表現の部分ではシェルバコワとコストルナヤに水をあけられていたので、ここにきての進化は嬉しいです。そんなにいいロミジュリは思わないですが、ジャンプさえ決めれば印象が変わってくると思います。ロシアはクソ編曲を実力で退治してこそ一流になれるのです。リーザのSP衣装は襦袢が目立ちますが、襦袢を目立たせないと衣装の面積が体の50%に満たないと判断されてディダクションを受けるので、それを危惧したデザインなのだと思います。LP衣装の背中に書いてある"愛"はよく分からん。和プロを滑るのは素晴らしい挑戦だと思います。ステップシークエンスにはハイキック入れるなど、今までのリーザとは違う面も見せていますね。ただ、手踊りになっているところも含めて中途半端な完成度になっているのは否めません。「どんだけー!」の振付が何回かあるので、日本人は盛り上がれそう。ジャンプは仕上げてくるでしょう。だってリーザだもの。サモドゥロワは眉間に謎の点を付けて、奇抜な髪形で演技。ハーモニカの男だけでSPを構成しました。あまり変化のない曲なので、滑りで緩急を見せないとアピールできないと思います。スケーティングがんばれ!体調不良でLPは欠席しました。早く元気になってください。ワリエワはジュニア2年目なのでシニアの国際大会には出場できません。オリンピック金メダルのためにテストスケートで場数を踏ませようという連盟の配慮でしょう。ワリエワを以ってしても、ちっとやそっとではジュニア選手がボレロを滑りこなすことはできないということが分かりました。ゴミゴミしたトランジションとの相性が悪いのと、卓越したスケーティングスキルがないと滑れませんからね。オリンピックシーズンも当然これを滑るはずなので、2年かけて攻略できるかが楽しみです。メドベージェワはSP仮面舞踏会、LPアレグリア。あーーーーー奇をてらっていないーーーーー好きーーーーー。SPのステップシークエンスは試合ではドヤ顔しながら滑ってくれるはずです。LPのステップシークエンスの頭の奇天烈な腕の動きが好きです。キャッチフットでのウィンドミルもなかなか効果的。ジャンプがおまけみたいなプログラム。コレオシークエンスの側転は盛り上がりそうです。女子シングルでは珍しいですから。ふくらはぎが枝のように細いので、健康的な体になれば体力も保てると思います。僕はメドベージェワのLP好きです。

フィギュアスケート界にもCOVID-19の感染者が出ています。テストスケートの会場にいるマスクをかけない関係者・大声を出す観客を見れば、ロシアでコロナが収束しない理由が分かります。当然ロステレコム杯もこのような形でおこなわれるはずですし、ロシアに入国する選手はリスクありますね。

怪我人が多いのが気にかかります。グランプリシリーズは1戦だけで、ファイナルの開催は不透明な状況ですが、国内大会もありますし、実戦感覚が掴めないという心配はなさそうです。

特に印象に残ったのはミシガリウルトラ進化、メドベージェワのプログラムええやん、コリヤダ元気やん、スコアレスピードあるやん、トゥルソワキレキレやん、ボイコズ世界チャンピオンになるやん、リーザのどんだけー!&愛。このような感じ。やっぱりミシガリだな。うん、ミシガリだ。敬意を表してブログのタグ付けミシガリだけにしておこう。
2020
09.17

エフゲーニャ・メドベージェワ コーチをエテリ・トゥトベリーゼに変更

https://fsrussia.ru/news/5113-medvedeva-budet-trenirovat-sya-pod-rukovodstvom-eteri-tutberidze.html

https://olympics.nbcsports.com/2020/09/16/brian-orser-yevgenia-medvedeva-eteri-tutberidze/

エフゲーニャ・メドベージェワが、エテリ・トゥトベリーゼにコーチを戻すことが正式に発表されました。テストスケート後の月曜日にメドベージェワから話があり、火曜日にはエテリの下に戻ることを決断したとのことです。メドベージェワがロシアに帰国し、ブライアン・オーサーの指導を直接受けられなかった影響が大きいようです。ブライアン・オーサーは、インタビューの中で「もしCOVID-19の流行がなければ、このような話はしていなかった」と語っています。メドベージェワがこのような決断をしたことは理解できます。次のオリンピックまで時間がないし、適切な指導が受けられなければロシアの中での序列が下がっていきます。練習のメソッドに慣れているエテリの下に戻るのは、手っ取り早いと言えるのです。

コーチを変更することはフィギュアスケートの世界ではよくあることですし、元のコーチに戻ることも特別珍しいことではありません。批判している人は、普段自分の好きな選手以外の情報にはまったく関心がないか、スポーツにまったく興味がないかのどちらかなのでしょう。COVID-19の流行で転職した人いるでしょう?それと同じですから。

メドベージェワはSPもLPもいいプログラムを揃えてきたので、ジャンプさえ降りられれば点数はついてくるはずです。振付だけはシェイリーンほか海外の振付師に依頼することを続けてください。グレイヘンガウス、ダメ絶対。
2020
09.12

セルゲイ・ヴォロノフ 引退

セルゲイ・ヴォロノフが引退を発表しました。彼だけは永遠に引退しないと思ったいたのですが、32歳で氷上から去ることになりました。

引退を発表したので、僕が彼を認識した2007年エリック・ボンパール杯の演技を観てみたんですね。あのビジュアルでジャンプをすべて成功させたらかっこいいに決まっています。今観てみると、足元がかなり粗いわけなんですけど、20歳にしてあの粗さだったのに、ここから干支が一周するまで現役を続けられたんだなあと思うと、感慨深いものがあります。相当の努力があったわけですよ。

オリンピックには縁がなかったです。バンクーバーオリンピックはヨーロッパ選手権の結果優先で、国内選手権2位なのに代表から外されてしまいました。ソチオリンピックの代表選考では、ヨーロッパ選手権でロシア男子最上位になれたのに、プルシェンコにネームバリューで負けて代表には選ばれなかった。まったくと言っていいほど連盟の寵愛を受けられなかった選手です。ロシア選手権との相性があまりよくなかったこともありますが、ヴォロノフの経歴を振り返ると、ロシアにおける政治力の重要性が分かります。

ヴォロノフの特筆すべき功績といえば、2014年グランプリファイナルでのロシア男子として10年ぶりの表彰台。そして、2017年NHK杯でのグランプリシリーズ男子シングル史上最年長優勝を飾ったことです。グランプリシリーズでは合計10個のメダルを手にし、ヨーロッパ選手権では2度の表彰台です。このほとんどを20代後半から30代で達成しているのが素晴らしいです。これが一国一代表の小国の選手ならありえますが、ロシアのような超大国で成し遂げたことが規格外なのです。

ジュニア時代からシニアに上がってもずっと怪我に苦しみ、ルッツをまったく跳べない状況が続きました。フリップにはロングエッジ判定がつきますし、4Tと4種の3回転と2Aだけで勝負しなければならない期間が8年に及びました。それだけ長期間ルッツを跳べなかった選手が、26歳にして3Lzまで取り戻し、コンスタントに決められるようになったわけです。

ロシアスケーターはシニアで結果が残せないとすぐに引退してコーチになるケースが多いです。でも、正しい研鑽を積めば人から少し遅れても結実することもあるから、ヴォロノフのように堪えて続けてみるのもありです。ヴォロノフのこれらの経験を若いスケーターたちに伝えていってほしいですね。

数々のおかしなプログラムを、サッカーボールをはじめとするダサすぎる数多の衣装で披露してくれました。2014-2015シーズンFSの"マンズマンズワールド"も好きだし、2019-2020シーズンSP"Somebody to love"も好きですけど、一番のお気に入りは、2015年国別対抗戦で滑った"My Way""君の瞳に恋してる"の名曲クソ適当メドレーです。ソチオリンピックポストシーズンですし、当時27歳だったので、おなじみのイントロが流れた際は、ヴォロノフの引退を予感しました。ところがどっこい衣装を脱ぎ捨ててタンクトップで踊り始めたんですね。イミフ!!!!!!!ヴォロノフのせいで、他のごくごく一般的な泣かせにくる系統の"My Way"のプログラムでも、脳内で"君の瞳に恋してる"が再生されるようになりました。ボイコズのノーミスクリーンプログラムを観ても、頭の中にはヴォロノフがいました。5年経ってもこうなので、一生変わらないでしょう。ヴォロノフ罪深い。

氷を上がってもダサい私服で我々の目を楽しませることを忘れませんでした。リンクの上でも外でもエンターテイナーでした。これからもずっとダサいセーターを着続けてください。エテリ・トゥトベリーゼのチームから離れるときに、エテリにマザコン呼ばわりされたのもおもしろかった。ヴォロノフさんはずっとおもしろかった。

ずっといた選手がいなくなってしまうことは悲しいです。NHK杯には2012~2014年、2017~2019年の計6回も来てくれました。ジュニア時代の試合や国別対抗戦、THE ICEも含めると10回以上日本で演技を見せてくれました。だからもう名誉NHK杯コンペティターでいいと思うんですよね。渡航制限がなくなったら、グランプリシリーズのアサイン無視してNHK杯にしれっと参加していいと思うんです。NHKも許してくれるでしょう。ヴォロノフの引退により、継続して試合に出ている80年代生まれのロシアスケーターはいなくなりました。さようならロシアの80年代。さようならセリョージャ。
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